18話 グアドサラムにて
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『な?そんで、俺はハッキリ言ってやったんだ』
『ほんと?』
『ったりめえだろ!』
『フフ、そうだけどぉ』
「お母さんーー」
『ちょっと、待っててね』
オヤジがいると、母さんは、俺の方を見てくれなかった。
だから俺は、オヤジがキライになっていったんだろうな。
オヤジがいなくなって、あとを追うように、母さんも死んで…
俺は、益々オヤジを憎んだ。
でもーー
「お母さん」
『ちょっと、待っててね』
『行ってやれよ。また、ビ-スカ泣くぞ』
母さんにかまって貰えなくて、淋しがる俺を見る、困ったようなオヤジの眼。
オヤジ、本当はーー
今更、気づいても
「なんか俺、めちゃくちゃガキだ。カッコ悪いよな」
「そんなことないよ」
ユウナの慰めが、目に染みた。
「どうだ?もうちょっと考えてくか?」
チャップに別れを告げ終えたワッカが、優しく声を掛ける。ルールーも一緒だ。
「ううん、大丈夫」
「あんた、なんかあったの?」
ティーダの目が、潤んでいることに気づいたルールーが、気づかう。
異界で想いを吹っ切れたのは、ワッカとルールーだけじゃあなくて。
それに気づいたら、自然と、笑みが込み上げてきた。
異界を後にして、リュックとアーロンの元へ戻った。
「お待たせしました。シーモア老師に、返事をしに行きます。あれ、リュックは?」
ユウナは、辺りを見渡した。
「あいつならーー」
立ち上がったアーロンが説明しかけると、リュックが参拝路を走って来るのが見えた。
「ユウナん!大変~って!後ろのおじさんなに~!?」
後ろを指差すリュックに、全員が振り返った。
異界の門の前に、陽炎のように、グアド族の姿が現れた。
「ジスカル様?」
ルールーが、驚きの声を上げる。
ジスカルは、苦悶の表情を浮かべ、救いを求めるように手を差し出す。
「迷って、いるようだな」
「どうしてーー」
「ユウナ、送ってやれ」
驚きを隠せないユウナに、アーロンは成すべき事を告げる。
皆が、ジスカルに気をとられていると、アーロンが突然膝をつく。
廻りに集まってくる幻光虫を、手で追い払った。
「ジスカル様」
近づいたユウナは、ジスカルの名を呼ぶ。
「もうジスカル様じゃない。早く送って差し上げなさい」
姿形はジスカルなれど、其処にジスカルの心は無い。
ルールーは、ユウナを急かした。
ジスカルの姿が消えると、その場所にスフィアが落ちていた。
「話は後だ。ここを出るぞ!」
皆を急がせるアーロンに、ユウナはそれを拾い、懐に仕舞った。
「ところでリュック、何が大変なんだ?」
騒ぎが収まったところで、ティーダが切り出した。
「あっ!そうだ!大変なんだよ!アヤがいなくなっちゃったの!」
「ええ!?」
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