18話 グアドサラムにて
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ユウナたちが異界へ向かった後、アヤは網の目のように張り巡らされている木の根にもたれ、ぼんやり佇んでいた。
「ユウナの旅の邪魔をするならーー」
邪魔をするつもりなんてーーただ、アーロンが、ミヘン街道で云っていたことが夢物語のようで、まだ実感できない。
アーロンはアヤの髪に口づけを落とすと、耳元に唇を寄せる。
「アヤーー俺は、アイツに賭けてみたい」
「アーロン?」
「アイツならーーいや、アイツらなら、この螺旋を、変えられるかもしれん・・」
抱きしめる腕を緩めることをせず、アーロンは言葉少なに云った。
それに、ブラスカの気持ちを伝えたかった。
「やっぱり、ガ-ド失格だ」
目を閉じて、自分の未熟さに唇を噛んだ。
「此方に、いらしたのですか?」
ハッとして目を開けたアヤの前に、トワメルが立っていた。
「ユウナ様達は、どちらに?」
「あ、異界へーー行きました」
「左様でございますか。実は、シーモア様が折り入って、お話があると申しております。お屋敷へ、お越し下さい」
「私に?」
「はい」
トワメルは、人の良さそうな笑みを浮かべ、アヤの返事を待っている。
「ーーわかりました」
案内されたのは、シーモアの私室だった。
出掛ける支度を整えていたシーモアは、アヤを見て微笑んだ。
「アヤ殿、間に合って良かった。もう出発されてしまったかと思っていました」
両手を広げて近づいてくるシーモアに、アヤはニコリともせずに言う。
「何をするつもりなの?」
「何のことです?」
シーモアは両手を後ろで組み、回り込むようにアヤの顔を覗き込んだ。
「ユウナに、結婚を申し込んだことよ」
シーモアは嬉しそうに笑うと、アヤの手を取った。
逃げようとするアヤを、強引に引き寄せる。
「妬いて・・くださっているのですか?」
「そんなわけ、ないでしょう」
アヤは、毅然に言い返す。
「やはり、アーロン殿の方が良いのですか?あのような、異界の匂いがする者が」
「!?」
シーモアは、アヤを抱きしめた。
体を密着させられ、堪らず上を向く。シーモアの瞳が、目の前に迫る。
「アーロン殿も、あの男と同じ」
「ちが、う」
アヤは、シーモアから目を逸らせないでいる。
「あなたを最後まで護らなかったアーロン殿と、自分で娶った女を、種族が違うというだけで、蔑ろにしたあの男とーーどこが違うというのです?」
何も、言い返すことが出来ないアヤは、顔を背けた。
「あなたも母も、あんな男たちのどこがーー」
シーモアは掴んでいた腕を放すと、その手でアヤの顔を上に向けた。
抵抗出来ぬまま、アヤはシーモアの口づけを受けた。
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