18話 グアドサラムにて
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屋敷を出ると、みんなはユウナの廻りに集まった。
「大召喚士の娘ユウナと、グアド族の族長シーモア。
そのふたりがエボンの名のもと、種族の壁を越えて結婚・・か。確かに、明るい話題にはなるわね」
「でもよ、ほんと、ひとときの夢って感じだよな」
ワッカもルールーも、まだ現実として、捉えることが出来ないようだ。
「ていうかさ、早く旅の続き行かない?冗談キツイっスよ」
この話を避けたいのか、ティーダはみんなを急かす。
「あ~やきもち?」
「違うって!」
リュックがからかうと、ムキになって否定する。
「余計な事に、巻き込まれちまったよな」
シーモアの屋敷に目をやりながら、ワッカはボヤいた。
「あのね・・私が結婚することで、みんなが少しでも明るい気持ちになれたら、そんな風に役に立てたらーーそれも素敵だなって思うんだ。だから、よく考えてから、返事をしたいの」
「マジっスか?」
ユウナの真剣な表情に、ティーダは驚く。
「結婚して、旅をやめちゃうのも、ありだと思うな」
「旅は、続けるよ。シーモア様も、わかってくれると思うんだ」
「うん、そうだね」
明るく言うユウナに、リュックは、どこか悲しそうに頷く。
「私、召喚士だもん。父さんと同じように、シンを倒すって、決めたんだから」
「違う!」
突然、アヤが叫んだ。
ユウナは驚いて、アヤを見る。
「ブラスカは、確かにシンを倒す為に召喚士になった。
でもそれは、あなたに召喚士になって欲しかったからでも、ましてやシンを倒して欲しいわけじゃない!ブラスカは、ユウナにーー」
「アヤ!」
アーロンに腕を強く掴まれて、アヤは黙った。
見下ろす顔には、怒りが満ちている。
掴んだ腕を乱暴に引き、自分に視線を向けさせる。
「ユウナの旅の邪魔をするつもりか、アヤ」
口調は静かだが、有無を云わさない怒りを含んでいた。
「邪魔をするつもりなら、今すぐガ-ドを辞めろ」
アーロンと視線を絡ませたまま、アヤは身じろぎもしない。
「アーロン!」
「アーロンさん、何もそこまで」
ティーダとユウナの抗議にも、耳を貸す気はないようだ。
黙って見ていたキマリが、ふたりに近づいた。
「ユウナ、すぐに出発するのか?」
顔だけ向けて訊ねると、ユウナはキマリの質問に、戸惑いながらも答える。
「あーー異界に行こうと思うの。父さんに会って、考えてみたいの」
キマリはユウナの言葉に頷くと、まだアヤの腕を掴んでいる、アーロンの手を解いた。
叱責され、黙り込むアヤにキマリも告げる。
「アヤ、キマリもユウナの旅の邪魔をすることは、許さない。
皆が異界へ行っている間に、少し頭を冷やした方がいい」
キマリは、厳しい言葉の中にも、労りを込めて云った。
「ーーそう・・します」
アヤはうなだれて、皆と視線を合わせなかった。
アヤを気にしながら、異界へ向かって歩き出した。
ユウナは踵を返すと、アヤの前に走った。
顔を上げない、アヤの手を握ると
「すぐ戻って来ます。だから、待っててください。絶対ですよ」
念を押すユウナに、アヤは僅かに頷いた。
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