18話 グアドサラムにて
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「ユウナレスカ様の夫、ゼイオン様です」
ゼイオンと呼ばれた男は、ユウナレスカの元へ歩むと、彼女と熱い抱擁を交わす。
その光景に、ユウナは顔を赤くして俯いた。
スフィアの映像が終わり、広間が白い光りに包まれた時、シーモアはユウナの顔を覗き込んだ。
そして、耳元に顔を寄せると、何事か囁く。
ユウナは驚きの余り、顔を覆った。
広間は元の姿に戻り、青白い光りに照らされる。
「あ、あのーー」
ユウナは、シーモアから逃げるようにテーブルまで足早に移動すると、グラスに入っている水を一気に飲み干した。
グラスをテーブルに戻すと、深呼吸をする。
「うわ!顔、真っ赤!」
「大丈夫か?」
心配した、リュックとティーダが駆け寄った。ワッカも顔を覗き込む。
ユウナは頬を押さえて、シーモアに囁かれた言葉を、皆に伝える。
「あ・・・結婚を、申し込まれました」
上ずった声が、ユウナの動揺を表している。
「マジっスか!?」
ティーダは、事の成り行きを見守るシーモアを見た。
ルールーもアヤも、驚きを隠せない。
「ーーユウナの使命を、知っている筈だが」
怒りを露わに、アーロンは、シーモアを見据えた。
「勿論です」
シーモアは穏やかな笑みを浮かべ、ゆっくりとアーロンに向かって歩む。
「ユウナ殿のーーいえ、召喚士は、スピラに平和と安定を齎すこと。
しかし、シンを倒すことだけが、全てではありますまい。
シンに苦しむ民の心を、少しでも晴れやかに。それもまた、民を導く者の務め」
アーロンと対峙したシーモアは、ユウナへ視線を移す。
「私は、エボンの老師として、ユウナ殿に結婚を申し込んだのです」
シーモアの芝居がかった言い方に、まるで、観劇の場にいるかのような錯覚に陥る。
アーロンは、シーモアに詰め寄った。
「スピラは劇場ではない。ひとときの夢で観客を酔わせても、現実は変わらん」
「それでも、舞台に立つのが役者の務め」
私には、まだまだ出番がある。そう、云いたいのだろうか。
「今すぐに、答える必要はありません。どうか、じっくり考えて下さい」
「そうさせてもらおう。出るぞ!」
言い澱むユウナの代わりに、アーロンが憮然と答える。
「ユウナ殿、良い返事をお待ちしています」
ユウナは、黙って頭を下げた。
「何の為に、とどまっているのです?」
シーモアは、広間を立ち去るアーロンの背に、問い掛けた。
アーロンは無言で立ち止まると、シーモアを一瞥する。
「これは失礼」
慇懃無礼に頭を下げる。
「我々グアドは、異界の匂いに敏感なもので」
その言葉に、そばにいたティーダが、無遠慮にアーロンの匂いをかぐ。
それを乱暴に押しのけると、アーロンは広間を出て行った。
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