17話 幻光の中の真実
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「うわぁー」
幻想的な河の様子に、ティーダは、感嘆の声を上げる。
「これが、幻光河よ」
「へぇ~」
「幻光花って、いうの」
河辺に繁茂する花を指差しながら、ユウナが説明する。
河の透明な水は、幻光花の葉の、深い緑から淡い緑へのグラデーションを映している。
うす紫の花弁から吹き出す、無数の幻光虫の光が、太陽のある昼間でも、河を神秘的に魅せていた。
「夜になると、沢山の幻光虫が集まるんだって」
ユウナは、観たことのない景色を想像している。
「河中が光って、まるで星の海」
ルールーは、思い出すように呟く。
「へぇーーあ、そうだ!」
自分の思い付きに、ティーダは叫ぶ。
「夜までなど待たんぞ」
考えを見透かしたアーロンに、ティーダは思い切り振り上げた腕を、所在なさげに下ろした。
「あ、じゃあ、シンを倒したら、ゆっくり観に来よう!」
ティーダは、ごく当たり前の提案をしたつもりだったが、誰も賛同しなかった。
なぜか重苦しくなった空気の中を、うす紫の風花が舞った。
しばらく、その美しさに魅入っていたが、アーロンが無言で歩き出した。皆が、それに倣う。
ワッカがティーダに声を掛ける。
「急がないと、シパーフが満員になっちまうぞ」
「シパーフ?船のことか?」
「見れば分かるって。行こうぜ」
岸に沿って進むと、シパーフ乗り場へ着いた。
「こいつがシパーフだ」
別に、ワッカの持ち物ではないのだが、何故か得意そうだ。
「おわぁ!すげぇ!」
ティーダは、子どものように興奮して叫ぶ。
「乗りたい!これ乗りたいぞ!」
四つ足の、高さ5メートルを越す巨獣。
長い鼻、長い尾、大きな体、それは男子永遠の憧れ、デカい動物だ。
「思い出すわね」
アヤは苦笑した。
「何?昔話?」
「10年前。ジェクトも、ここで初めてシパーフを見た」
その時を思い出したのか、アーロンは微かに笑う。
「驚いたジェクトは、いきなりシパーフに斬りかかってな」
「な、なんで?」
「酔っていた。魔物だと思ったらしい」
「しょ~がねえな」
「俺たちの有り金をはたいて、詫びをいれた。ジェクトはそれ以来、酒を止めた」
「これ、あの時のシパーフよ」
その話を聞いて、少し、複雑な気持ちになった。
ザナルカンドにいた時、絶対酒を止めなかった癖に。
俺が言っても、止めてくれなかったのにーー
他人の為には、止めるんだなーーオヤジ
「スピラは、10年経っても何も変わっていない。尤も、ここは変わる事を拒否している世界。そう簡単には、変わらんだろうがな」
「・・・」
