17話 幻光の中の真実
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「おあよ~、ルールー、アーロン」
ティーダが、大きなアクビをしながら出て来た。
「お早うございます」
アヤも、誰ともなしに挨拶をしながら出てくる。
「おはよ、アヤ。あれ、目が赤いっスよ」
目ざといティーダの指摘に、アヤは少し困った顔をする。
「アヤさんは遅くまで大変だったのよ。あんたも、少しは役に立ちなさいよ」
「は~い」
教師に怒られる生徒の図と化したティーダに、ワッカは笑いながら
「ユウナが来たら出発だ。起こして来てくれ」
「わかった!」
ティーダは逃げるように、寺院の中へ入って行った。
大広間の奥にある僧官の間へ入ると、一番手前の部屋をノックする。
「ユウナ?」
もう一度ノックするが、やはり返事がない。
そっと扉を押して中を覗き込むと、ベッドで眠るユウナの姿が目に入った。
足音を立てずに近寄る。
「よく寝てる」
ティーダは枕元にしゃがみ、ユウナの寝顔を眺めた。
夕べは遅かったみたいだし、もう少し寝かせておこう
そう思って部屋を出ようとした。
「う・・ん」
ユウナが寝返りをうって、目を開けた。
「あ、おはよ」
ティーダの優しい声に、ユウナは目を見張る。
「あれーー朝?」
ベッドの上に起き上がる。
「大丈夫だよ、もう少し寝てなよ」
「でも、朝なんでしょ!?」
ベッドから下りると、洗面所へ走る。
「すぐ支度するから」
水の跳ねる音が、ユウナの声に被る。
「そんなに焦んなくっていいって」
ティーダは、ユウナの慌てる様子に口元を緩めた。
寺院からティーダが出てくると、後ろからユウナが走って来る。
「よ~お、寝ぼすけ」
「ごめんなさ~い」
ユウナは頭を下げる。
「そんなに急がなくていいのに。ほら、寝グセ」
ルールーがユウナの髪をつまんだ。
「え~」
恥ずかしそうに手櫛で髪を直すユウナに、アヤも微笑む。
「寝グセの召喚士なんて、みんなガッカリだぞ」
からかうワッカに、ユウナは口を尖らせる。
「起こしてくれればいいのに」
「声は掛けたよ。でも、口開けて眠ってたしね」
「ん~今日はなんだか、みんなイジワルっすね」
上目づかいにルールーを睨めば、ユウナを囲んで笑いが起こる。
「フッ」
珍しくアーロンが笑いの輪に加われば、ユウナが目ざとく見つけ、頬を膨らます。
「あ!アーロンさんまで」
「さて、召喚士様の寝グセがとれたら出発だ」
そう言って歩き出すアーロンに、笑い声は更に大きくなった。
皆が歩く後ろ姿を見つめるユウナに、アヤが気づき立ち止まる。
確実に近づいていく、究極召喚の時。
笑いの仮面をつけ、本当の気持ちを覆い隠す。
今の私たちには、そうしてごまかすことしか出来ない。
10年前も。そして、現在も。
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