17話 幻光の中の真実
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【翠の紋様】
悪夢のような、ミヘン・セッションから一夜が明けた。
多くの死傷者を出した作戦も、一夜を過ぎれば、夢だったのかと思う程、穏やかな朝。
波の音が聞こえ、雷キノコ岩も沈黙している。
「どんな時でも、夜は明けて朝が来る・・また旅の始まりねーー」
宿から外へ出たルールーは、寺院の静かな空気を肌で感じていた。
「早いな」
後ろから掛けられた声に、振り向かずとも主が分かった。
昨夜、交わした会話のせいか、少々顔を合わせるのも気まずかった。
が、相手はそれを気づかわせない為か、いつも通り不機嫌な顔だ。
「お早うございます、アーロンさん。みんなは、起きましたか?」
「キマリは、起きている」
そこで言葉を切ったアーロンに、ルールーはその先を察した。
「なかなか、起きないのですね」
「ああーーワッカが手を焼いている」
ルールーが、その姿を想像し微笑すると、アーロンも口の端を僅かに上げる。
「お早うございます、皆さん。お早いですね」
扉が開き、寺院からルチルが出てくる。
「ルチルさん、もう出発ですか?」
「はい、幻光河を渡って北上します。新たなチョコボを探すつもりです」
「チョコボが見つかったら、騎兵隊を再建しまっす!」
エルマは、昨日の敗戦を吹っ切るかのごとく、宣言した。
「がんばってね」
「はい!」
ルールーの声援に、満面の笑みで頷く。
「行きましょ!隊長」
エルマは、たった一頭になってしまったチョコボを連れて、歩き出す。
ルチルは、ルールーの後ろにいるアーロンを見つめていた。アーロンもルチルの視線を受けとめる。
「たいちょお~?」
「あ、あぁ、今行く」
遅れて歩き出したルチルは、足を止めると振り返った。
「アヤ様をーー頼みます」
静かな朝でなければ、聞こえないくらいの声だった。
ルールーがアーロンを振り返ると、彼は既に背中を向けていた。
アーロンが、ルチルの頼みにどう返事を返したかは、ルールーにはわからなかった。
ただ、ルールーがルチルを見た時、彼女は目を細め、微かに笑ったように見えた。
「早いな、ルー」
ワッカとキマリが、宿から出て来る。
「あんたが遅いのよ」
私たちより先に寝てたくせにと、小言がはじまる。
その声に、静けさが終わりを告げ、またいつもの騒がしさが訪れる。
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