16話 撤退
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
星も、月もない闇の空を、アーロンは見上げる。
ミヘン街道の夜、アヤを抱きしめた。
しなやかな髪も、滑らかな肌も、紫の瞳も、全てが懐かしく、愛おしかった。
その想いと同じくらいーーいや、それ以上に己の愚かさを悔いた。
あの時、
己の苦しみしか、感じなかった。
己の嘆きしか、聴こえなかった。
己の涙しか、見えなかった。
世界で悲しんでいるのは、己だけと思った。
アヤの気持ちなど、知ろうともしなかった。
友との約束と自分に言い訳をし、何も言わずに姿を消した。
逢いたいと願いながら、スピラへ舞い戻って来たというのに
逢って拒絶されることが怖かった。
憎まれていることを望みながら
まだ愛されていることに喜びと安堵を感じた。
愚かな行為を許し
また愛して欲しいと
虫のいいことを願っていたのだということを
アーロンは、ようやく認めた。
next あとがき.
