16話 撤退
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「大召喚士ブラスカ様を守ったガードを捕まえて、『オジサン』とはな」
「物知らずにも、ほどがあるわね」
ワッカとルールーは、ドナの無礼を咎めた。
「バルテロ、もういいでしょ!戻って来なさい!」
無邪気に喜んでいるバルテロに、ドナは苛立った。
バルテロは、アーロンと握手した手をうっとりと眺めている。
「アーロンさんに会えた。感激だ」
バルテロの独り言が聞こえたアヤは
「随分、丸くなったのね」
アーロンは、苦虫を噛み潰した顔になった。
「罵られる方がマシだな」
「尊敬や称賛には、値しない?」
「あぁ。俺は、護れなかった。何も」
アーロンの言葉に、アヤは黙って床に視線を落とした。
「おまえさえも」
言わなければ、この人に。
自分の罪をーー
「遅いわね。いつまで待たせるのかしら」
ドナの催促が聞こえたわけではないだろうが、祈り子の間の扉が開き、ユウナが崩れ落ちるように姿を見せた。
膝をついたユウナに、キマリが駆け寄る。
それを見たドナが、皮肉な笑みを浮かべた。
「持つべきものは、偉大な父親ね」
その声に、ユウナは顔を上げる。
「伝説のガードを味方につけて、シーモア様にも気にいられているみたいじゃない?」
ドナはユウナの前に立つと、腰に手を当て、上から見下ろした。
「ブラスカ様の娘って肩書きがあると、違うわね」
「父は、関係ありません。私はひとりの召喚士として、旅をしているだけです」
ユウナの実直な答えが、余計勘に障った。
「あら、結構なことね。でも、偉そうなことを言う前に、まず自分の足でシャンと立ったら?
ガードに頼ってばかりだと、いざって時に痛い目見るわよ」
捨て台詞を残し、祈り子の間へ入っていった。
「相変わらず、感じわりィな~。ユウナ、気にすんなよ」
ティーダが忌々しげに腕を組んで言う。
「うん、ありがとう」
「ユウナーー私のせいかも」
「どうしてですか?」
アヤが遠慮がちに口を開く。
「以前、ドナにガードを頼まれたことがあってーー断ったけど」
「その腹いせか?」
ワッカも渋い顔をする。
「気にすることなどない。どんなガードがつこうが、結局は召喚士の実力次第だ。言わせておけ」
「はい」
アーロンの言葉に、ユウナは明るい顔で返事をした。
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