16話 撤退
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正面の祈り子の間に続く階段を、ふたりの青年と、子どもがひとり降りて来た。
「失礼だが、お名前を聞かせて貰えないか?」
「ビサイドから参りました、ユウナと申します」
「やはりそうか。ブラスカ様のご息女だね。お父上の面影がある」
「父の、お知り合いですか?」
「いや、直接お会いしたことはないんだ。あぁ、失礼、僕はイサール。君と同じ召喚士だ」
イサールの挨拶に、ユウナもエボンの祈りを返す。
「きっと、お父上から、素晴らしい能力を受け継いだことだろう。君なら必ず、シンを倒せる筈だ」
過度な期待に、ユウナは恐縮する。
「勿論、僕も負けるつもりはない。どちらが先にシンを倒せるか、競争だね」
「私だって、負けませんから」
「では、僕はこれで。お互いに、がんばろう」
イサールは、二人のガードと出口へ向かった。
ユウナたちも、祈り子の間へ歩き出した。
ティーダは、横にいたアヤに話しかける。
「感じのいい召喚士もいるんだな」
「?」
話が見えていないアヤに構わず、ティーダは続ける。
「まぁ、ドナみたいな奴ばっかりつーのもな」
ようやく意味が分かり、アヤは苦笑した。
ユウナが祈り子の間に消えると、一同は控えの間で待つ仕事に入った。
ティーダは、退屈して部屋の中を歩き回る。
祈り子の間の入り口に立っているキマリが、うろつくティーダを一瞥する。
不意に、ティーダの襟首を掴むと言った。
「自分の場所を決めろ。そこで、黙って待て」
キマリは、ティーダを見る。
「おまえ、少しだけ強くなった。でも、まだまだ足りない」
キマリに窘められ、さすがに大人しくなった。
控えの間の入り口が開き、別の召喚士が入って来る。
「あら、またあなたたち?相変わらず、頭数だけは多いわね」
開口一番、ドナは憎まれ口を叩いた。
ガードのバルテロが、アーロンに気づき、威圧的な態度をとる。
「どうしたの?バルテロ。そのオジサンに何か用?」
「あんたーーアーロンだな」
「だったらどうする?」
舐める様に自分を見るバルテロに、アーロンも挑発的な態度をとる。
「握手、してくれないか」
バルテロは、態度を急変させた。
「アーロンーーいや、アーロンさん!俺、あんたに憧れてガードになったんだ!」
差し出した右手を、両手で握りしめるバルテロに、アーロンは自嘲の笑みを浮かべた。
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