16話 撤退
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海の参道に、ルチルが立っていた。
生き残った、チョコボ騎兵隊も一緒だった。
「ユウナ様、皆さん、ご無事で何よりです」
「あなた方も、よくご無事でーーエボンの賜物ですね」
ユウナは、ルチルたちの無事に安堵した。
「我々は命拾いしましたが、戦力としては、全滅同然です」
「生き残ったチョコボは、この子だけなんです」
後ろにいる、一頭だけになったチョコボを見ながら、エルマは悲しそうに言った。
「教えに背いて参戦した挙げ句、この有り様です。
死んで逝った兵たちに、合わせる顔がありません。
作戦に参加する前に、もっと冷静になるべきでした」
ルチルは、己の浅はかな決断を悔いた。
「どうするんだ?」
ティーダも心配する。
「とりあえず、ジョゼ寺院で休息します。これからのことも、考えたいですし」
「そうだな。それがいいよ!」
少し軽いティーダの発言に、ルチルたちは笑いながら頷いた。
「あれ、ジョゼの寺院?」
寺院前の広場に着くと、地響きと共に雷が轟き、寺院を覆っている巨大な岩が割れた。
岩が割れると、寺院の外観が姿を表す。
驚いて声も出ないティーダに、ルールーが説明する。
「あの、かみなりキノコ岩はね、召喚士が祈り子様と対面した時だけ開くの」
「誰か、他の召喚士が来てるってことだな」
「どんな人かな」
ユウナは興味津々だ。
「ドナだったりして」
「負けたくないなぁ」
珍しく、競争心剥き出しでユウナが言った。
アーロンは、松明の代わりに稲妻が光る大広間へ入ると、ブラスカの御聖像を見上げた。
「ブラスカも、今やエボンの英雄か」
「ブラスカだけじゃないわ。あなたも、ジェクトも、英雄よ」
アヤの言葉に、アーロンは眉間の皺を深くした。
「この10年ーースピラの至る所で、ブラスカとジェクトとあなたの名を聞いたわ。
あなたにとっては、不本意でしょうけど」
アーロンは黙って、アヤの言うことを聴いていた。
「キノックが、あんな風になったきっかけはーー」
思いがけない名に、アーロンはアヤを見た。
思わず言いかけたことに、アヤは慌てて口を噤む。
「ごめんなさい、何でもないの」
ユウナたちの所へ歩き出したアヤの腕を、アーロンは掴んだ。
「俺ーーか」
「ごめん、忘れて」
アヤは俯いたまま、アーロンの腕を振りほどいた。
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