16話 撤退
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海岸を離れ、ジョゼ寺院へ繋がる街道へ入った。
アーロンの肩に担がれているアヤが、意識を取り戻す。
「アーロンーー」
「会えたのか?」
「うんーー降ろして」
アーロンは立ち止まり、肩からアヤを降ろす。
地面に脚をつけると、少しふらついたが、なんとか立つことが出来た。
アーロンの腕に掴まり、ゆっくりと歩き出す。
「ジェクト、どんな気持ちなんだろう。スピラを護る為に旅をしたのにーー
今はスピラを壊し、人々を殺している。自分の意思とは、関係なしにーー」
ユウナたちが、アヤの意識が戻った事に気づき、立ち止まった。
「ティーダに殺させるの?」
ユウナに手を振った。
「アイツがそれを望んでいる」
アヤは、アーロンの腕を離した。
「大丈夫か?」
「うん。それが、ジェクトの夢ーーなのね」
走り寄って来たユウナが、心配そうに顔を覗き込んだ。
「まだ、顔色が悪いよ」
アヤは、微笑んだ。
「大丈夫よ。倒れたら、アーロンに運んで貰うから」
「重いーー」
アーロンがボソッと呟いた言葉に、アヤは青筋を立てた。
「二人とも早く~!」
ユウナは、後ろから遅れがちに歩いてくる、ティーダとキマリを急かした。
「張り切ってんな」
キマリは、ティーダの言葉に分かっていないと、首を振る。
「つらい時ほど努力して、明るく振る舞う」
「え?」
「今も同じだ。無理をしている」
「ほっといていいのかよ」
「ガードが心配すると、ユウナはもっと無理をする。おまえも気をつけろ」
「心配するより笑顔?」
「キマリも、練習している」
「ちょっと、やってみ?」
少し意地悪く言うティーダに、キマリは顔を引きつらせて笑顔を見せた、つもりだ。
「ハァ~」
キマリの笑顔らしき顔を見て、ティーダはため息をついた。
ジョゼ街道を歩いているのは、ティーダたちだけではなく、生き残った討伐隊員たちも寺院目指して歩いていた。
寺院からも僧が出向き、負傷者に付き添っている。
ユウナが労うと、僧は言った。
「傷ついた者を救うのは、エボンの教えを信じる者として当然のことです。
破門された討伐隊の者たちでも、寺院は喜んで保護しますよ。
彼らは、十分罰を受けました。もう、破門をといてもいいでしょう」
それを聞いたワッカが、独りごちた。
「やっぱ、教えに背いちゃいけねえよなぁ」
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