16話 撤退
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シーモアの出現に驚いていたユウナは、その一言にハッとした。
「普通の人間ならば、時には悲しみに浸るのも良いでしょう。
けれども、貴女は召喚士。人々の希望、そのものなのです。
シンを倒すまで、弱音は許されません。よく、心得ておくことです」
「はい、努力します」
シーモアは、自分を見上げる真剣な眼差しに満足した。
「不安ですか?」
いつもの穏やかな顔だった。
それにつられ、ユウナは不安を瞳に浮かべてしまう。
「ならば、わたくしが支えとなりましょう。
『ユウナレスカ』を支えたゼイオンのように」
シーモアの言葉に、ユウナは目を見開いた。
「それはーーどういう・・」
「続きは、いずれお目にかかる時に。それでは」
意味深い笑みを浮かべると、シーモアは立ち去った。
茫然としているユウナに、ティーダが話し掛ける。
「大丈夫?」
「え?あ・・へへへ」
ユウナは力無く笑った。
「やっぱり、上に立つ方は厳しいなぁ・・」
「気にすんなよ」
「うん・・ありがと。アヤさん、大丈夫かな」
岩陰で休んでいるアーロンとアヤに目をやった。
「俺は、全然平気なんだけどな・・」
何でだろって、考えてみたけど、やっぱりわからくて。
「あ、様子見てくる」
照れ隠しに笑って、ユウナのそばを離れた。
「アーロンーー」
「ティーダ、シンはジェクトだ」
ティーダが近づくと、アーロンはいきなり確信をついてきた。
一瞬、固まった後、声を落として返事をした。
「実はさーーそうかもしれないって、さっき思った」
「奴は、おまえに会いに来た」
「俺に会う為に、たくさん人を殺したってのか?」
自分の手で集めた、遺体を思い返す。
「それが、シンだ。自分の姿をおまえに見せに来たのだろう。何故かわかるか?」
「知るかっての」
地面に視線を落とし、消え入りそうな声で答えた。
「おまえに、殺される為だ」
驚いて顔を上げたティーダは、アーロンを疑視した。
「シンでいる限り、ジェクトは襲い、殺し続ける。
それを、おまえに止めて欲しがっている」
「何であんたに、そんなことがわかるんだよ!」
アーロンは、それには答えずに立ち上がると、アヤを肩に担いで歩き出した。
「話の途中だろ!逃げんなよ!」
振り向かずに、アーロンは言った。
「おまえもな」
これから先、どんな真実が待っていようと
決して逃げないでくれ。
立ち向かってくれ。
その為に、俺はいる。
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