2話 ザナルカンドへ
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決勝戦が始まった。
両チームの激しいタックルの応酬、魚のようにしなやかに泳ぎ、パスを送る。
冷たい水の中で繰り広げられる熱いバトルに、観客は熱狂した。
ティーダは、キープしたボールを、相手選手のタックルをモノともせず、パスを出した。
そのパスの威力は、スフィアプールから選手をはじき出すくらい、強烈だった。
勝利を確信したティーダは、金色の髪をたなびかせながら、不敵に笑った。
味方の絶好のパスに、体が躍る。
前半終了間際、シュートを放とうと体を反転させたその時、スフィアプールごしに、無数の赤い光りが迫ってくるのが見えた。
「なーー!?」
激しい波と衝撃に吹き飛ばされ、夢中で目の前に見えた物に掴まったが、再び起こった衝撃にあえなく地面に落下した。
着地したティーダは、打ちつけた体の痛みに顔を歪めながら、立ち上がった。
スタジアムの入口に落ちたらしく、観客達が逃げ惑っている。
歩き出したティーダの目に、朱い服が映った。
「アーロン!何ボサッとしてるんだよ!」
突っ立っているアーロンに、イラついて声をかける。
「おまえを、待っていた」
「また、わけわかんないことを・・」
アーロンは何ごともなかったように歩き出し、ティーダはムッとしながら、その後を追った。
そこへ、ひとりの少年が現れた。
「おまえ、確か家の前でーー」
「はじまるよ」
少年は、ティーダの声を遮った。
「あ?何言ってーー」
「泣かないで」
母さん?
一瞬の瞬きで、姿が消えた。
「なんだったんだ?」
呆気にとられていたティーダは、慌ててアーロンの後を追った。
「アーロン!なぁこっちヤバいって!」
焦って怒鳴るティーダに、前を見据えたアーロンが呟く。
「見ろ」
夜の空に、巨大な水の塊が浮かんでいた。
その塊は、ビルの照明を反射して、月のごとく青ざめていた。
「俺たちは『シン』と呼んでいた」
俺たち?
「シン?」
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