(短編)天色の花かんむり




「紅茶を飲みませんか?」

ムルタ・アズラエル、綺麗な金髪を携え、私と同じ瞳の色をした大好きな叔父さん。


叔父上からのお誘いを断るわけもなく

「はい、一緒に飲みましょう」

相槌を打つように答える。



叔父上のお仕事の区切りがついたあと、お部屋に招いてくれる。そうして、2人だけのお茶会が今日も始まる。


私は、叔父上のいれてくれた紅茶が大好き
少し苦く赤く濃い茶色のお茶に、一対一でミルクを入れれば、美味しいミルクティーの出来上がり。

叔父上はそのままで飲むのが1番ですよといって、自分で淹れた紅茶をそのままストレートで飲む。

紅茶を飲みながら私たちは、テーマもなく取り留めないお話をする
叔父上が今まで見てきた旅先の景色、貧しい国の物語から南極の朝の夜の気温の変化、デトロイトの美味しいパン屋さんの話から政治経済、宇宙工学のお話まで、地球のいいところも悪いところ、叔父上から教えてもらった。ブルーコスモスのことも。
どんな難しいお話でも私は耳を傾けた。

宇宙のコロニーから見ていた世界とは別の、新しい世界の話。
数え切れないほどの小さなお話の種が私の心の中に蒔かれていく。
難解なお話も噛み砕いて分かりやすく話をしてくれる。叔父上の眼差しが私の心に優しい淡い雨もして降り注ぐよう、心の中で蒔かれた種が新しい価値観として青々と芽吹いていく。


「貴方は僕の話を聞くのが本当に好きですね、いい表情です、話し甲斐があります」

「楽しそうに話してくれる叔父上を見ていたら…こんな顔にもなります」

「僕を見て??僕から地球の話を聞くのが貴方の目的だったのでは?」

「それはもちろん!叔父上のお話はどれも素敵です。でもお話をしている時の叔父上が…かわい…、いえ!格好良くてずっと見ていたくなるんです」


私の言葉に叔父上は呆れながらも笑ってくれて、「もう一杯どうぞ?」とティーカップに紅茶を注いでくれた。
 

ミルクティーは溶け合い混ざり合う
紅茶もミルクも元の姿には戻れない
新しい姿に生まれ変わる。

私も叔父上と過ごしたことで元の私にはもう戻れない。

ミルクティーに加えた、黄色の蜂蜜や白いチョコや青いミントのフレーバー、味を変えて私は叔父上の紅茶を愉しむ。
叔父上が注いでくれた美味しい紅茶を私は綺麗に飲み干していく。

また一杯、何度も何度も何度でも、カップに注がれ続ける限り終わらない。
2人だけのお茶会は今夜も続いていく。

(おわり)

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2025.9.27 公開(追悼記念)
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