天色の花かんむり
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橙色と赤色のグラデーションの朝焼けの空
地球に来てから毎朝眺めているけれど、今朝のこの空が一番綺麗かもしれない
朝のルーティンで最初にやることは空眺めることだ
こんな綺麗な空なら今日はきっと素晴らしいはず、そんな予感をさせてくれる。
これから始まる1日への期待に胸を震わせながら、私は朝の支度を進めることにした。
◇
おかしい、変だ、いつもと違う。
なんでスカートじゃないの?
その日に着るお洋服は叔父上が手配してくれていた。毎日違う服だったけど、スカートでない日は一度もなかった。なのに今日の服はパンツスタイル…。
ただのファッションでならいいけど、行動に一つも無駄がない叔父上のことだし、何か考えがありそうだ
そういえば、パンツそのものが久しぶりだ、最後に履いたのはザフトのパイロットスーツ以来かも。だけど履いてみたら動きやすくてしっくりして………落ち着く。
どんなに素敵でかわいい服を叔父上に用意してもらっても、スカートに慣れることはなかったな…。
ヘアースタイルも服に合わせてまとめようかな、叔父上に何も言われてないけどそうしていた方がいい気がした
ファッションのなんたるかもよく分からないけど、与えられた服に着て、可愛い女の子のふりをするのは上手になってきたと思う。
身支度を終えてリビングルームに移動する。
扉を開けると、部屋の反対側の扉も同じタイミングで開かれた。
「ラーラ、おはようございます」
『叔父上、おはようございます』
にこやかなに挨拶を交わしあった。
唇を言葉通りに動かしてアピールをする
これくらいの言葉のやりとりなら、筆談のタブレットを使わなくても口パクで通じるようになってくれていた。
叔父上はいつもと変わらないスーツの姿でばっちり整っている。とてもスマートでかっこいい。
でもスーツの雰囲気がいつも違う。濃い紫色のシャツに水色のジャケット、ネクタイの色も明るい。今日のお仕事先はいつもと違う?
私の服もいつもと違うし、今日は何かある…?
『新しいスーツですか?すごく似合っています』
「そうですか?ラーラも今日のスタイル、よくお似合いですよ。」
『ありがとうございます』
タブレットで会話をする。いつもと調子は変わらないけど、意味ありげな叔父上の目配せに、予感が確信に近づいていく。
一緒にいることに私はすっかり慣れたし、叔父上の看病もさせてもらって距離が近くなったと思っていたのに…。今日は変だ、叔父上の瞳が、月の基地で初めて会った時みたいな冷たく感じる。
でもだめ、叔父上の心を推し量るなんてこと、私がしちゃいけない。こんなによくして頂いている。今日も粛々と叔父上の動きに合わせて、私は"ラーラ・アズラエル"として笑顔でにこやかに振る舞えばいい。
それが、いつかザフトの、イザークの隣に戻る日の為の生存戦略なんだから…!
朝食の席に着くと叔父上は話し始めた。
「今日は僕のお仕事を、ラーラに少し手伝ってもらおうと思っています。その為に動きやすい服を選ばせて頂きました。」
タブレットの筆談で叔父上の会話に加わる。
『叔父上のお仕事の手伝いですか?』
「はい、少しだけ。ラーラにしか頼めそうにない問題がでてきてしまって、是非協力をお願いしたいです。しかし無理強いはしません、内容を聞いてからでも…」
『分かりました。私ができることなら、させてもらいます。』
叔父上にお世話になった恩は必ず返さないといけない。返したい。
叔父上が話し終わる前に食い気味にタブレットを私はかざした。
身の回りのお世話をしてもらっている恩もあるけれど
ハーフコーディネイターは、"ナチョラル返り"?"コーディネイターのなりそこない"?だよね?それを分かっていても無条件でこんなによくしてくれる人、地球では叔父上しかいない。
そんな人のお願いを、断る選択肢なんて私にはできない。
「本当ですか?いや〜かなり行き詰まっていて困っていたんですよ、お手伝い頂けたらとても助かります。」
『私にもできることがあるなら何でもやります。お仕事の内容は?今日はどこへ?』
「仕事の内容は…現地についてからで。場所はパナマです。」
『パナマ…?わかりました。お仕事のお手伝いが楽しみです…!』
お話が終わって、机に並んだ朝食を確認する。
ちょっとカロリーが高めでボリュームたっぷり、私の好物がずらりと並んでいた
「朝食を頂きましょうか、ラーラ」
叔父上はしっかりと私と目を合わせて上機嫌に微笑む。
何か意味ありげな朝の食事だったけれど、私は美味しくぺろりと完食した。
◇
空港の入り口から少し離れたロータリーに到着して叔父上と私は車から降りた。
車から降りて待機してくれているスタッフさんの誘導に沿って、案内されるままついていく。それが空港を利用する時のいつもの決まりだったけど…、今日のスタッフさんは雰囲気がいつもの人と明らかに違う。
背格好や表情や姿勢、SPとは微妙に違う、軍属の人だと雰囲気で分かった。私も訓練を受けた側の人間だし、叔父上よりもずっと年上の人だし、その年齢のナチョラルがSPを勤められるわけがない。
そのおじさんは、すぐに叔父上に気づいて空港の入口の方から、真っ直ぐこちらに向かって歩いてくる。
私は軽く会釈したけれど、おじさんの視線は叔父上にしか向いていなかった。
叔父上の方は?と確認すると、しっかりとおじさんのお顔を捉えていた。叔父上の表情が、お花が咲いたみたいに明るくなって無邪気で子供みたいでこんなあどけない叔父上の表情、今まで見たことがない…!本当に叔父上???
「アズラエル様ご無沙汰しております。お待ちしておりました」
「こんにちはサザーランド大佐、久しぶりだね。いつぶりだったかな?」
「1月のアルザッヘル基地以来です」
「もうそんなに経ちましたか、今日はパナマまでご同行お願いしますね」
「はい、お任せ下さい」
流れるようなやりとり…。
おじさんの階級や所属に対して、内なるザフトの私が騒ぎ立ててはいるけれど…、いつもカッコいい叔父上が、こんなに嬉しそうにしている姿、初めて見る。その方が今は気になってしまう。
表面上はお仕事のお話をしているけれど、こんなに楽しそうなの…、いつもの叔父上じゃない。
「こちら、改めて紹介するよ。僕の姉の子のラーラ・アズラエルさん、利発で可愛いらしい子ですよ」
『お目にかかれて嬉しいです。ラーラといいます。』
叔父上は優しい口調でこの大佐さんに私を紹介してくれた。私もタブレットも使って大佐さんに挨拶をした。
「ラーラは病で口が聞けなくってね、タブレットで筆談するんだ。大佐も最初は不便かもしれないけれど、よろしく頼むよ」
「そうなのですね。ウィリアム・サザーランドと申します。地球連合軍で大佐をしております。ラーラさん以後よろしくお願いいたします。」
サザーランド大佐さんから握手を求められた。
ザフトの私がこの手をとっていいの…?迷ったけれど、今の私は…、"アズラエル"だ。この手をとらなきゃいけない。
上機嫌な叔父上が見守っている前で私は大佐さんの掌を握り返した。
でも次の瞬間、私は酷く困惑した。
大佐さんの手の冷たさに驚いた。氷を触るように冷たくて、私の心はキュッと締め付けられた。あまりにも吃驚したので、背の高い大佐さんの方へ顔を上げたら、掌の冷たさの源が瞳の奥に方にあるのを見つけてしまった。
背中にたらり、冷や汗が流れる。
ここでは、叔父上の前では、変に思うれるようなリアクションはとれない。だってこの人、叔父上のとって特別な人でしょう?さっきのやりとりだけで分かる。
にこやかな微笑みで、私は凍る視線に応えた。それ以外の選択肢はないような気がして
◇
大佐さんが誘導するまま後ろをついていく。
握手した方の掌は、まだ悴みそうなくらいに冷たい。
空港の中を進んで行く。
アズラエル家所有の飛行機がある場所に向かって進む。専用のラウンジで休むこともあればそのまま飛行機に乗り込むこともある。
この空港に来るのも初めてじゃないし、誘導されているこのルートもいつもと同じなのに…、今日は変だ、空気にどこか違和感がある。
時間を刻むごとに、小さな違和感が胸の中にじゃりじゃりと嫌な音を立てて溜まっていく。
叔父上を見ても変わったところはない、けれど何かが変なの。できるだけ小さな動きで辺りを見回してみた。
人通りも多くて今日も空港は混雑している。建物の中の雰囲気もいつも通りですれ違う人たちに何も変わったところはない。大佐さんもきちんと誘導してくれている。
なのに…、それほど遠くない場所から視線を感じる、誰かが私達を見ている。
叔父上は有名人で目立つから、そういった意味の視線は今までにも感じたことはあったけれど、ここまでざらついた視線は初めてだ。
どんどん視線の厚みが増して、足早にこちらの方に近づいて来ている気配がする。
「ラーラ?どうかしましたか?」
挙動がおかしかった?叔父上は私の違和感に気づいてくれた。
でももう時間がない、どうしよう?
叔父上に何て伝えれば?
危機が迫っているって?
私はタブレットに、大急ぎで文字を打ち込んだ
『テロがきます』
「テロ…?!」
次の瞬間、
「みつけたぞ、異端者め」
私の後ろの人混みの中から、低く響く、呪いのような声が聞こえた。
「死んでもらう…!!」
剥き出しの殺意を、胸に突き立てられた
そんなものに私は怯んでいられない
"今度こそ"
"私が守らなきゃ!!"
決意の言葉が頭の先から足の爪先まで、一気に駆け抜けた。
いつもより、自在に体を動かせることが分かる
私は強い、私は叔父上を守る、私ならできる
何かの力が奥から湧き上がってくる
私の目なのに、コックピットの索敵モニターみたいにその場のデータを読み取ることができる
何からどう対処すればいいか、脳と体が一緒に動いてくれる。
叔父上の腕を掴んで、サザーランド大佐さんの方へ勢いよく押し込んだ。
バランスを崩した叔父上を、大佐さんはしっかりと支えてくれた。
これで大丈夫、この人はちゃんと叔父上を守ってくれる人だ。私への視線は冷たくても、叔父上へのまなざしは全く違う。信用できる。
私は後ろから迫ってくる気配の方に体を向ける。
こちらに走って向かってくる男の手にはナイフがあった。ナイフだけ?銃火器はなさそう。ならそのナイフ奪ってしまおう…!
男の僅かな予備動作で次の動きが分かった。アカデミーで何百回とイザークや赤服の同期達とナイフ戦をしてきたんだから…!
ナイフを私に突き出す前に、大きく腕を引いた。体が一瞬硬直する隙を狙って、私はフロントキックを股の間に入れ、吹き飛ばすように蹴りをいれた。急所へのダメージに男はその場でうずくまった。
男が床に落としたナイフを拾い、私はナイフを手に入れた。
周りにいた民間人はパニックになり、方々に散り散りになる。叔父上と大佐さんもその動きに合わせて距離をとってくれた。
パニックのお陰でその場にとどまった人間が暴漢だって分かりやすくなった。残る相手は4人いる。
うずくまった男を盾にして、相手の出方を伺った。
相手に考える時間と余裕を与えては駄目だ、見せしめるように一人目の男の両足の腱を斬りつけた。
男の悲痛な大声が辺りに響いた。
他の暴漢たちも手にナイフで銃火器は持っていない。油断はできないけど、それなら勝機は私にある。
1人目があっという間に沈んだことで、面を食らったのか残りの4人は私との間合いを測りかねているみたい額に汗が浮かんでいるのが見える。
焦ったように他の4人は次々と私の方に向かってくる。
この人達の命はいらないけど、二度と武器を扱えないようにするくらいはいいよね??
だってテロは悪いことなのだもの。
全員の動きに共通点があった、一撃必中で急所狙ってくる。そんなことしたら動きがバレバレなのに…。視線や手の角度、足の踏み込み位置でどこを狙っているか、相手の次の動きまで見えてしまう。そもそも感情が揺らいでしまったら動きは単調になるのよ?
一撃必殺の攻撃を私に避けられて、急いでバックステップで体勢を整えたところで、イザークやアスラン達とやり合っていた私の敵じゃない。
2人、3人、4人目も、迅速に沈めていった。
5人目には、攻撃のすれ違いざまに利き手の手首の内側の腱を切らせてもらった、痛みで怯んだところで反対側の腕の腱も切断した。
銃火器もっていても、これでもう握れないでしょう…?
持ってなくなったナイフが床に落ちる。5人目のナイフも遠くに蹴り飛ばして拾えなくする。
出血の痛みに耐えて動けなくなった男たちに近づいて、1人ずつチョークで失神させていった。これでしばらく痛みも忘れられるでしょ?
全員しっかりと気絶をさせて、暴漢を制圧した。
久しぶりの実戦で息が切れてしまった。胸に手を置いて呼吸を整える。自主練を続けていて良かったな。
生身で初めて向けられた殺気に今になって胸が痛む。だけど建物に入ってから、肌にまとわりついたモヤモヤが晴れてすっきりした。
もう終わったはずだった、なのに?まだ一本、まだ細い糸のようなものが、私の首に何重にも巻きついている。どうして?
制圧できた、まだ誰か残っている?それとも新手?
あたりを見回した。僅かに絡みつく細い殺気の糸の先を辿っていく。その先には…、叔父上の隣にいるサザーランド大佐さんがいた。
どうして?私がザフトだから?そのことをこの人は知っているの?
叔父上を守ってくれたことに感謝の気持ちでいっぱいなのに…!
場は収まったのに、頭の中は混乱したままだ。いやその前よりも混乱が強くなる。
どうして?分からない…
私は叔父上を守ったの、それだけを考えればいい、こんなこと叔父上に悟られたくない。
「ラーラ!」
叔父上は慌てた様子で、私の方まで駆け寄ってきてくれた。
「怪我は…?!」
叔父上の瞳がいつもより大きい。息も荒くて、取り乱してくれている…?
抑え気味でも、いつものクールな叔父上とは違う、私のことを本当に心配してくれているの…?
『私は大丈夫!叔父上こそ怪我していませんか?』
叔父上に心配しもらったことが嬉しくて、タブレットを打つ指が震える。そうこれは、嬉しいから指が震えているの。
「大佐がいましたからね、大丈夫です」
『良かったです、あ、フライトの時刻は??』
「そのことは一旦置きましょう。まずは医務室に行きますよ」
『怪我は無いです』
「念の為です。自分の心配をなさい。」
『叔父上の時間をとらせるなんて…』
「ラーラ、今、自分の手が震えていること分かっていますか?まともな状態じゃない」
叔父上は震える私の手を触って、強く握っていたナイフにかかっていた指を1本ずつ解いてくれた。
その叔父上の指が手が暖かくて、胸の奥がふるえてしまう。
叔父上の蒼い瞳の奥が、どうしても見えなくて、淋しくなってしまうことがある。にこやかに微笑んでいても、叔父上の心の中は一つも見えない。血の繋がりがあっても私は"ナチョラル"じゃない、そんな私が叔父上に本当に優しくされることはないなって、どこか諦めていたのに………。
「ラーラ、僕の護衛、ありがとうございました。」
『私、叔父上をちゃんと守れましたか?』
「?はい。おかげさまで怪我ひとつありませんよ」
『私、叔父上のお役に立ちましたか?』
「もちろん…!」
本当に頭の中が混乱してぐちゃぐちゃだ。
安心したら今度は、父をテロで亡くした時の光景が蘇ってくる。
危機も困難も去って、安全になったはずなのに。
父を守れなくて、泣きじゃくることしかできなかった私が…胸の中でうるさいくらいにまた泣いている
冷たい手は苦手だ、温かい手が好き
生きていることを肌で感じることができるから。
◇
医務室に叔父上と2人で移動した。
空港のロビーは大騒ぎになったけれど、叔父上が周りのスタッフに事細かに指示を出して、あっという間にいつもの空港ロビーに戻っていった。
サザーランド大佐さんは、原状回復?報告?とかで少しの間別れて、後で合流することになっている。
叔父上の手腕を間近で見るのは初めてだったけど、能力の高さに息を呑んだ。
叔父上はいつも堂々とキラキラして自信に満ち溢れているけれど、なんでそうなのか腑に落ちたし、こんなすごい人の隣にいてもいいのか……、急に不安になってきちゃった。
医務室に来ても、特に治療するところなんてなかった。
あの場にいた通行人にも怪我した人はいなかったと、医務室のスタッフさんから聞いてやっと気を抜くことができた。
叔父上は携帯電話で細かく誰かと連絡を取り合っている様子で、私は固いソファーに座って叔父上をぼーっと見ていた。
いつもみたいに、ただ叔父上を見ていたはずなのに、堰を切ったように涙が溢れでてきてしまった。
どうして?安心したから?
小さな頃の私に戻ったみたいに嘘みたいに、涙が止まらない。
父をテロで亡くして、もう家族をテロで失いたくないって、小さな頃の決意がそれからの私を縛ってはいた。自覚している
私の力で大切な人を守るって決めていた。だからラクスやシーゲルおじ様を守る為に、1人でも鍛錬を詰んでザフトにも入隊した。
色々事情は変わっちゃったけれど、やっと私の力を正しく使えた。念願が叶って、嬉しいはずなのに、この日の為に今まで努力してきたはずなのに…
そんなことより、叔父上を、家族を失わずに済んだことの方が、もっとずっと嬉しくて…、涙が溢れて止まらない。
泣いている私に気づいてくれた叔父上は、手に持っていた電話を切ってソファーに。傍にきて座ってくれた。
「ラーラどうしましたか?あなたがこんなに泣くなんて」
声も出せずに泣く私を、叔父上は優しい目で見つめてくれている。
心配してくれているのかな?分からないけれど、今、傍にいてくれることが嬉しい。
そっか、ハーフで劣る私がプラントで、コーディネイターの中でも腐らずにいれたのは、この日の、この瞬間の為だったかもしれない。
"プラントの未来の為"だなんて立派なことを掲げていたけれど、目の前の大切な人を守ることの方がもっとずっと大事なことだったんじゃない?
じゃないと、私のこの、止まらない涙の説明がつかない。
テロで父のことがデジャヴして、あの日の痛みまでが蘇って辛いのに、叔父上を見ていると胸の奥から温かいものが込み上げ溢れていく。
気づいたら、私は叔父上の胸にもたれかかっていた。叔父上の胸を勝手に借りてしまった。
叔父上のお顔は見えない、だけど叔父上はそっと抱きしめてくれた。
それで、私の心が動いた。
静かに声もなく泣いていただけだったのに、か細く鳴くように、小さな声が喉から溢れ出した。
10年ぶりに耳に届いた自分の声に驚いた。
醜い嗚咽の混じった鳴き声だけど、私の口から溢れ出た"声"だった。
(11話につづく)
※2025.09.30 公開
【補足】
ハーフコーディネイターへ対してのスラング、「ナチョラル返り」は公式の何かで見ました(雑ですみません)「コーディネイター崩れ」はありそうな造語を作ってみました。
「異端者」もスピンオフの公式でお見かけました。
そこまでハーフに対して差別せずとも…?!と思いますが、地球(大西洋連邦?)ではコーディネイターへのヘイトより、ハーフへの当たりの方がキツイという記述をみて驚きました。71年頃のCE世界は本当に殺伐としていますね。