天色の花かんむり
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真っ黒い宇宙空間に浮かぶ円筒型のコロニー、ヘリオポリス。
戦艦ヴェサリウスの窓から、アカデミーの同期イザーク・ジュールと、これから潜入するコロニーを眺めていた。
これから私達は、中立国のコロニーに潜入して「地球連合軍の新型モビルスーツを奪取する」ザフトにとって極めて重要な作戦を開始することになっている。
4ヶ月前ほど前に、ザフトのアカデミーを無事卒業することができた。
1年前、CE70年2月から始まった地球連合軍とのこの戦争は、膠着状態になったまま停戦の兆しすらない。
ーーーこんな戦争早く終わればいいのに。
美味しいスイーツを味わって食べることもできないなんて、…悲しすぎる。
アカデミーをでた後の配属先はどこであっても、きちんと赤服として任務に全うする意気込みだった。
それがまさか、クルーゼ隊に配属なんて夢にも思ってもみなかった。
「ラーラ、そろそろ時間だ、行くぞ」
イザークの声が静かに、低く響く。
まっすぐに切りそろえられた銀髪の髪、端正なお顔にアイスブルーの瞳が少しだけ鋭く輝く、私より2つ年上の男の子、イザーク・ジュール。
彼とはアカデミーからの付き合いで同じパイロット科に属していた。7ヶ月間一緒に訓練をしてきた大切な同期だ。とても気の合う友達で、仲間で、彼に私は………恋を、している。
腰元のサイドポーチから私物のタブレットを取り出した。素早く静かに、文字を入力して画面をイザークに見せた。
『そうだね、時間だね』
それを見て、イザークは瞼を一度伏せて、もう一度私の瞳を見てうなづいた。
アカデミーでは、私は白兵戦だけ飛び抜けて得意だった。
他の科目は…。白兵戦以外で好成績をとることが本当に大変だった。同期は皆、優秀だった。
だから、今こうして、イザークと同じ「赤い色のパイロットスーツ」を着ているだけで、胸がいっぱいになってしまう。
「戦闘が始まったら、タブレットを打ってる暇なんかないぞ?悪いことは言わん、大人しく後方でサポートに徹しろ、いいな?」
『それでよね、クルーゼ隊長にね、後方でサポートに徹するように…ってご命令を個別に受けたの』
「さすがクルーゼ隊長、よく分かっていらっしゃる」
私は、言葉を話せない。
だからタブレットで文字を打って、それ見せて、相手と会話する方法をとっている。
ずっと幼い頃に心の患いで声を無くしてしまった。
運よく?アカデミーの皆には受け入れてもらえて、このコミュニケーションにも慣れてくれた。
優しくて、志も高くて?同期の皆は頼もしい仲間だ。
アカデミーの訓練や、配属後の今までの作戦はなんとかなったけど、今回のような重大かつ、少しのミスも許されない作戦では「後方支援」の判断が下されてしまった。
艦で待機命令も十分ありえたのに、作戦に加えて頂けたこと、クルーゼ隊長に感謝しなくては…いけない。
今この瞬間、イザークに無用の心配をかけてしまっていることに、胸が痛くなる。
彼は本物のエースパイロットだ、私とは違う、私の些細な不安なんかを共有しなくていい。
『私も地球軍の新型モビルスーツ、乗りたかったなー』
だから少しでも明るく振る舞う、払拭したい。大丈夫だって思ってもらいたい。
「ラーラに新型は勿体ない…!俺が華麗に乗りこなす姿を指をくわえて見ているんだな」
いつもの調子のイザークに戻ってくれた、良かった。
『あーあ、ナイフ格闘戦は私の方が上だけど、モビルスーツの操縦はイザークの方が上手だもんね、仕方ないっか〜』
「なんだと!?ナイフ格闘戦も最後は俺が勝っただろう!」
ふふんとイザークは得意げになった。
唯一の得意分野で、一回でも負けた私が悪いんだけど…、本当のことだから言い返せななくてムカムカする。
バチン!とイザークの目を見て睨んで、顔をプイっと横に振った。
「おーい、お二人さん、ここにいたのか、そろそろ時間だぜ?」
艦内通路の曲がり角から、ディアッカがこちらに向かってくる。
金髪のオールバックで肌が褐色でアメジストの薄い紫色の瞳が色濃く光る。ディアッカは私より3つ年上で、気遣い屋さんの優しいお兄さん。
アカデミーでも、アカデミーを出てからも、3人一緒に行動をすることがほとんどで。
イザークにとってディアッカは親友だけど、私にとってもディアッカは、とても大事な友達だ。
「貴様、いつからそこにいた!?」
「向こうの方からでも、イザークの声が聴こえてきたんだよ。楽しそ〜な声だったし、ラーラと一緒だと思ったよ」
「な…?!」
「仲がいいねぇ〜お二人さん、俺は先に行ってるぜ」
「なんだと?!ディアッカ…!」
『またあとでね!』
「あ、ラーラは今回に配置、後方だろ?サポートしっかり頼むぜ」
『OK!まかせて!』
ディアッカの背中を見送ったけど、
私達もそろそろ、集合場所に向かわなきゃだ。
「全くあいつは…、ラーラ行くぞ」
イザークはポンッと私の肩を叩いて、先に行こうと体を向きを変えた。無重力の慣性に乗ろうとしたところで、私は咄嗟に彼の手首を掴んだ。
急に動き止められて、イザークは少し驚いたみたいだったけど、ちゃんと足を止めてくれた。
タブレットで文字を打つ、それをイザークは怒らず見守ってくれている。
『あのね、イザーク』
『作戦が終わったら聞いてほしい話があるの』
『大事な話だから、少し時間をちょうだい』
掌のタブレットをイザークに向けて、彼をじっと見つめた。
目を見開いたあと、深く目を閉じて、私の言葉を飲み込んでくれている。
イザークの耳がさっきより赤くて、照れてくれてる。
「………分かった」
『ありがとう…!』
唇を大きくわかりやすく動かしてイザークに気持ちを伝える。
これくらいの言葉なら口の動きでイザークは分かってくれる。
話くらいは聞いてもらえると思ってはいたけど…、それが叶いそうで心から嬉しい。
「だが…!俺からも話がある」
『イザークも?』
「ああ、だから、絶対に作戦を成功させる、いいな?ラーラ!」
イザークは活をいれてくれてる、作戦絶対成功しなきゃだもんね
『私達、クルーゼ隊だよ?失敗するわけないし、させるつもりもないよ』
「……ま、プラントの未来のために戦おう、ってやつだ」
『じゃあ――我らの正義に星の加護を、だね』
「は!優等生かよ」
『私達、赤服よ?』
手と手でハイタッチをして私達が気持ちを合わせる。
作戦決行の為に、私達が集合場所へと向かった。
イザークに私のことをもっと知ってほしいし、私もイザークのこともっと知りたい。
イザークとの次の約束があること、イザークと一緒にいれる日々がこれからも続いていくことが嬉しい。
だから、絶対に作戦を成功させよう
これからもイザークと一緒にいる為に。
(2話につづく)
※2026.02.10 加筆修正しました。
※2025.05.29 公開
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