私立ドミニオン高校1年生の女の子です。
2話
お名前をどうぞ。
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昼休みが終わって5時間目の授業中…。
メモ帳の切れ端にメッセージを書いて、後ろの席のフレイに先生の目を盗んでこっそりと渡す。
フレイも返事が書けたら、私の背中をトントンと叩いて、その合図で私は掌をフレイの机の上にくっつけて、小さな手紙をフレイから受け取る。
次の休憩時間を待ちきれない私たちは授業そっちのけで、メモを交換して話をしていた。
友達が自分の恋バナに関心を寄せてくれるのは嬉しいけど、気恥ずかしい。だけど聞いてほしい気持ちが勝ってしまう。
『私、文芸部に入部することにしたよ』
「例の先輩に会いにいったのよね?文芸部?何があったの?」
『オルガ先輩には会えたよ!先輩が文芸部員みたいで入部も決めてきた』
「早すぎない?積極的すぎて先輩に引かれてない?大丈夫?」
『今のところは大丈夫そう!』
『今日ね、活動日みたいで放課後文芸部に行くの、良かったらフレイも一緒にどう?』
ここで、5限終了のチャイムが鳴った。
フレイからいい返事が貰えるといいんだけど…
期待してフレイの反応を待つ
「ラーラ、今日はダメなの、キラとの約束があるから」
フレイの女神みたいな眩しさに目が眩んじゃいそう。
大好きなキラ君に会えるって思ったら、そんな顔にもなるかもね。
ちょっと前なら、恋とかよく分からなくって、ふーんって感じだったけど、今ならフレイが何でこんなご機嫌になっちゃうのか気持ちが分かる。
ブブブ!
フレイのスマホが揺れた。ちらっと見えたフレイのスマホの画面には「キラ」と表示されていた。
フレイのスワイプの速さが高速でびっくりする。メッセージアプリを確認した途端に、フレイの表情が真っ青になった。
「うそ…!そんなぁ………」
『どうしたの?』
「キラ、急用ができちゃったみたい、また今度〜だって、ショックだわ」
『残念ね』
フレイはスマホを握り締めてうなだれた。
キラ君との約束を最優先にしてるフレイからすれば、1番ショックな出来事だから。
何て声をかけたら…と迷っていたら
フレイは気を取り直したのか、私の方を向いて穏やかに微笑んだ
「まぁいいわ、埋め合わせしてくれるみたいだし。今日はラーラに付き合うことにするわ」
『フレイありがとう!』
「そのオルガ先輩ってすごくカッコいいんでしょ?会うのが楽しみだわぁ…!」
キラ君にも感謝だな、
今日フレイをオルガ先輩に紹介したかったから助かっちゃった。
放課後になって、私たちは図書室へと向かった。
図書室には、もう先にオルガ先輩がいて窓際まで本を読んでいた。入口の扉入ってすぐのところでフレイは私の後ろに隠れてオルガ先輩を遠巻きに見ている。
「え!ちょっとラーラ?!あなたが追いかけている先輩…顔怖すぎない?」
『ええ?今まで会った男の人の中で一番のイケメンだよ?』
「私と趣味が全然違うわ…」
確かに、キラ君はかわいい系だからタイプは全然違うけど、オルガ先輩だってすごくお顔がいいと思うんだけどな。
「お、1年きたな、隣のやつがさっき言ってたお前の友達か?」
私達の話し声に気づいたのか、オルガ先輩は読書をやめて、入口のところにまで来てくれた。首を縦に振ってから、メモ帳を取り出して、さっき授業中に書いてたフレイの紹介メモを先輩に見せた。
『紹介します。私と同じクラスのフレイ・アルスター、私の親友、マブです。』
「親友なのか助かるぜ、お前もラーラと一緒に文芸部に入部してくれるんだってな」
「…へ?」
後ろにいるフレイから間の抜けた声が聞こえる
「俺は2年のオルガ・サブナックだ、よろしく頼むぜここには本しかねぇけど、適当に本を読んで、時間まで暇を潰してくれ」
と言ってオルガ先輩はさっきの場所に戻っていった。
後ろにいるフレイからの視線が突き刺さる。
「ラーラ、ちょっといいかしら?話があるわ、一旦外に出ましょう」
顔は笑っているけど、声がいつもより低い。
フレイが怖いので指示に従って図書室の外に出た
「何で!私も!文芸部なの!?」
『廃部寸前なんだって!人助けだと思って!フレイ〜一生のお願い!!』
「いやよ、私放課後はなるべくキラと過ごす為に帰宅部がしようと思っているに」
『デートは毎日じゃないでしょ?男とデートしたいからって帰宅部っていうの…フレイのパパが知ったらどう思うかな?』
「パパ!?パパには…怒られちゃうかも…」
ずるいとは思うけど、フレイがパパっ子なことを利用させてもらう!
『廃部のピンチをどうにかした方が、親への体裁もよくない?活動は週2だしキラ君との予定がある時はそっち優先でOK!文芸部はいいカモフラージュになるよ』
「…そんな悪知恵よく思いつくわね」
『はい入部届!ここにサイン!』
先輩にもらった入部届の用紙のフレイの目の前に笑顔でつき出す。OKをもらうまで、この腕を下ろすつもりはない。
「もう…わかったわよ。入部してあげるわ。…強引なところ、おじさんに似てきたんじゃない?」
『叔父さんに?いやだなー』
「で、文芸部って何するの?」
『さぁ?いっぱい本とか読むんじゃない?』
「ラーラ本当に文芸部で大丈夫??」
何はともあれ、高校でフレイと同じ部で一緒に活動できることがすごく嬉しい。
図書室に入って、すぐにフレイの入部届けを先輩に渡しにいった。
先輩は、椅子の背もたれにもたれかかりながら、片手で本を持って読んでいる。オルガ先輩の本を持っている手の綺麗な指先を注目してしまう。窓際でカーテンが風で揺れている。絵画かな?
惚れ惚れと見とれていたら…フレイから脇腹に肘鉄をもらってしまった。
読書中のオルガ先輩の肩をトントンと叩いて、こちらに気づいてもらう。
先輩は本を近くの机に置いた。先輩の空いた手で受け取りやすいよう、フレイの入部届けを先輩の手の前に差し出した。
そのまま先輩は入部届けを受け取ってくれたけど表情が固い。
「正式に入部…はいいんだけどよ…。部員があと2人集まらなかったら廃部になるんだとよ。
同好会は禁止だし、廃部になったらこの部屋使えなくなるってよ。昼休みの後に担任に言われてな…」
寝耳に水すぎる!廃部は絶対にして欲しくない!!
「誘っといてなんだが短い付き合いになるかもしれねぇ」
先輩はバツが悪そうに笑っているけど、そんなの困る!メモ帳に急いでなぐり書く。
『廃部はだめです!!部員を増やしましょう!』
「そうはいってもよ…、今どき紙の本読むやつなんていねーだろ?」
「私も紙の本は読まないわ」
『私はどっちも読まないかな』
「おい!じゃあなんで文芸部に入部したんだよ!」
それは…オルガ先輩目当てだけど、そんなの言えるわけない
『これから読むから…大丈夫です!』
苦しい言い訳だけど、それを事実にしていけばいいだけだ
『私みたいにこれから本を読みたい人を見つけたらいいんですよ!』
「…………任せたわ、俺は本読めたらそれでいい。文芸部もなくなったらなくなったで図書館に行けばいいしな」
先輩は部員集めに乗り気じゃなさそう、
こんなに人数が多い学校なんだから、本好きなんて探せばいると思うんだけどな…。
あっという間にその日の活動時間は終わってしまって、部活初日は気持ちがモヤモヤしたまま終わってしまった。
2日後の文芸部の活動日。
「部員集め、本当に私たちがするの?1年生なのに?」
『え、やろうよ?じっと座って本読むよりは楽しそうじゃない?』
「大変そうじゃない!でもラーラの初恋は応援してあげたいし…、協力してあげるわ」
『ありがとう!フレイ』
部員集めの作戦を中庭を歩きながらフレイに伝えることにした。
『部員集めの方法は、帰宅部っぽい人をつかまえて図書室に連れていくの。入部するかどうかは後回しで、とりあえず図書室に来てもらうって作戦!』
「そんな人がいてくれたらいいわねぇ」
フレイの呆れ顔の後ろに、ちょうどいい感じの人が私の視界に入った
ベンチで眠っている人がいる、嘘でしょ?このタイミングで…?
部活をしているなら、そこでお昼寝しているはずがない。こんな都合よく?と思ったけれど、チャンスは逃したくない。
フレイの肩を叩いて、寝ている人に向けて指差しをした。
「なんでいるの?!あの人帰宅部っぽいわ!」
だよね?!フレイもそう思うよね?
「でも、どうやって声かけるの?あの人ベンチでお昼寝中よ?」
『大丈夫、私が眠ったまま、そっと図書室まで運んでいくわ』
「ちょっとラーラ?!」
ベンチの前まで来ると眠っている人のお顔がよく見えた、男の人だった。
ベンチの座面全面をつかって仰向けで寝転がって眠っている。
ふわふわと癖がある髪の色は薄い黄緑色で肌は色白い。
目にアイマスクをつけて、耳にはワイヤレスイヤホン?そんなに無防備で大丈夫?
これから、図書室に連れて行くんだけど、この男の人の生活スタイルが心配になる。
「ラーラ?!運ぶって本気?」
私は本気よ。
ベンチで眠っている男の人には悪いけれど、腰を下ろして身をかがめて、男の人に重心を近づける。そのまま肩甲骨とふとももを抱えるように抱いて立ち上がった。
「あぁもう…やり始めたら聞かないんだから…」
フレイはため息を漏らしている。
男の人をお姫様抱っこをするのは初めてだけど、男の人は寝息を立ててよく眠っている。
アイマスクとイヤホンのせいか全く気づかれず起きる気配がない。赤ちゃんならもう大泣きしている頃じゃない?
「図書室って2階よ?登れるの?」
「なによラーラ、自信たっぷりに笑っちゃって…」
男の人を抱えながら、そのまま中庭を突っ切って、図書室のある旧校舎に向かってゆっくりと歩いていった。
(3話へ続く)
