私立ドミニオン高校1年生の女の子です。
1話
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入学式に咲いていた桜の花は、休日を挟んで翌週には散っていた。
週明けからは慌ただしくクラスメイトに自己紹介をして、楽しく充実した学園生活を送る為の心得を一週間かけて教わって、翌週からは本格的な授業が始まった。
ブルーコスモス私立ドミニオン高校に入学してから2週間…。
制服のスカートの糊はまだ固いけれど、少しずつドミニオン高校の生活には慣れてきたと思う。
学校の歴史とかは興味ないけど、市内で一番古い高校で伝統とか?もあって、生徒数も多い。一学年12クラスもある。その人数が快適に過ごす為になのか、学校の敷地もとにかく広い。
校舎は旧校舎、新校舎、別棟、部活棟だとか、横にも縦にも広くって、学校全体のマップを掴むなんて、入学して2週間の一年生には…難しいことだった。
昼休みが終わって、次の5限の美術の授業は美術室に移動だった。
先週あった、校内巡りのプレゼンテーションで1回は来たけれど、他にも覚えることがいっぱいで校舎の中がどうなっているとか、覚えてられない。
教室からも離れた場所で迷子になってしまった。
友達のフレイがいれば、なんとかなったかもしれないけれど今日は病欠でお休みだ。
フレイ以外の友達もいないのに一人で行動したのは失敗だった。
あやふやだけど、校舎の突き当りの広い部屋に確か美術室があったはず…。
当てずっぽうに歩いてみて、辿りついた場所の部屋には【図書室】と書いてあった。
間違えちゃったなぁ…、大きくため息をついて、図書室の扉の前でうなだれる。
この学校広すぎなのよね、もう昼休みも終わっちゃうし…、
途方に暮れていると図書室の扉が中から開いた。
「あぁ?なんだお前?こんな所につっ立ってたら危ねーだろ」
図書室の中から出てきた先輩っぽい人にぶっきらぼうに注意をされた。
黄緑色の髪をざっくりと後ろに流している。瞳も青みがかった緑色で肌の色も透き通っている…、こんな綺麗な顔をした人がこの学校にいたんだ
「なんだその顔?人の顔まじまじ見てんじゃねーよ」
あまりにも綺麗だったからじっと見つめてしまった。…一歩後ろに下って先輩と距離を開ける。
「あぁ…?なんか言えよ」
不審がられてる…?
こんな綺麗な人に話しかけられたことに、ドキドキしてしまってコミュニケーションをとることを忘れてしまっていた。落ち着かなきゃ…!
制服の胸元のポケットにいつも入れているメモ帳を取り出して、白紙のページに文字を書いた。
『筆談でごめんなさい。私は声が出なくて話せないんです。何か不快にさせてしまっていたならごめんなさい』
先輩に書いたメモを見せる。
私の行動に警戒?していたのか、先輩は腕を組んでいたけれど、メモを読んで、少し驚いたように目を見開いた、
組んでいた腕を緩めて「まじか」と小さな声を漏らしている。
「…筆談ってこうやるんだな」
私はコクンと頷いた。
「別にお前に対して不快とかじゃなくって、扉の前に立ってたら危ねーし、通行の邪魔だろ?気をつけろって言いたかっただけだ」
私はメモ帳を引っ込めて、先輩にごめんなさいと頭を下げた。
「分かればいい」
「それよりもう昼休み終わるのに今から図書室に用事か?もう閉まるぞ?」
そうだった、先輩と話していて5限の授業のこと忘れかけていた。
今から美術室を探しまわる時間もないし、目の前にいる先輩に美術室の場所を聞いてみるしかないかな。緊張はするけど、この先輩に頼るしかない。
『すみません、美術室の場所を教えてもらっていいですか?』
『校舎で迷子になってしまって』
メモ帳をおそるおそる先輩に見せる。
「なるほどな、5限が美術か…?それで美術室か。あー口頭で説明するのめんどくせぇし、近くまで連れてってやるよ」
「ついてこいよな、1年」
場所を教えてもらえれば良かった…いや、多分口頭説明は無理だったかも
先輩は美術室の方?に足を進める。置いていかれないように後ろをついていく。
初対面なのに、こんなにしてもらっていいんだろうか?
筆談だって、読まされる方はめんどくさいだろうに、普通に接して貰えた。
先輩の雰囲気、すごく強面なのにとても親切な人だ。嬉しい。
「ほらよ1年、ここの突き当たりが美術室だ」
図書室のあった校舎とは別の校舎まで移動してけっこう歩いたはずなのに、体感では一瞬だった。お礼の気持ちを込めて、先輩に深々と頭を下げた。
「じゃあな、もう迷子になるなよ」
道案内を終わると先輩はすぐに行ってしまった。
先輩の背中が見えなくなったタイミングで、5限開始のチャイムが鳴った。
自分の心臓がうるさく鳴っている。
余韻が冷めないまま、私は急いで美術室に向かった。
ーーーーーーーーーー
その日からー。
先輩に一言お礼を言いたくて…、
なーんて建前で、ただ先輩に会いたかった。
どこに行けば会えるかな?って、先輩を探したけれど校舎が広いし生徒数も多い、私の探索能力じゃ見つからなかった。
悩んでフレイに相談したら、「昼休みに図書室で会ったんなら、図書室張り込めばいいんじゃない?」とアドバイスをもらった。
フレイ頭いい!
早速、昼休みに図書室へ向かった。
図書室の入るとたくさんの本棚が置かれていた。人の気配はあるけど姿は見えない。
入口入ってすぐの掲示板がふいに目に入った。その中に一枚だけ、くたびれた手書きのポスターが貼られている。【文芸部 部員募集中】と書いてある。
「文芸部に興味があるのか?」
後ろから声をかけられ、びっくりしたけどこの声は知っている!
後ろに振り返るとずっと会いたかった先輩がそこに立っていた。
「なんだお前、この前の迷子になってた1年じゃねーか」
自分の顔が赤くなっていくのが分かる。
まだあれから数日しか経っていないけど、ずっと会いたかった人が目の前にいる。
まずはお礼を言わなくちゃ
メモ帳を取り出して『この前はありがとうございました』と書いて、先輩に見せた。
「…あぁ、あれな。別に対したことしてねーよ」
先輩は照れくさそうに、口の端を少し上げて笑った
その笑顔がかっこよすぎて自分の心臓の爆音で鳴っている。
「お前本読むのか?興味あるなら文芸部に入らねぇ?部員俺しかいなくて廃部寸前なんだよ。…まぁ、もう入る部活決まってんなら無理はいわねぇけど」
先輩がいる文芸部!!??
メモ帳いっぱいに大きく文字を書く
『入部します!!!!』
先輩は目を丸くする
「あ?いいのか?そんなすぐに決めてよ、仮入部でもいいぞ?」
『大丈夫です!入部します!』
首をブンブンと縦に何度も振った。
「まぁいいか、俺は2年のオルガ・サブナック。お前、名前は?」
『1年のラーラ・アズラエルです』
「よろしくな」
『よろしくお願いします、オルガ先輩』
2回目でも初対面の時と変わらずに筆談でちゃんとお話をしてくれる。
そんなオルガ先輩のことを、会って間もないのに、私は大好きになってしまった。
(2話へつづく)
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