ヴィデオン・ジェイラ"月の魔道士"

「…聖なる光よ、剣となり闇を消し去れ!」

呪文により、光の剣のようなものによって闇は消え失せたが、代わりに霧を起こした人物が姿を現した。

それは、過去に魔法戦争に巻き込まれた数百人の亡霊たちとそれを操っている、ピセタという中年の男の魔法使いだった。

だが、その身なりは魔法使いというよりも貧相な農民のように着ている衣服はボロボロで汚らしく、長く伸びた髪に顎髭。細くこけた頬と体は、動く屍のようだ。

「…貴方、ピセタね?ドヴェルグ国を追放されたと聞いたけど、噂は本当だったのね」

「…くくく!この私を追放したドヴェルグ国だがシャルフェ国の情報を流せば、もう1度仲間にしてやると誘われたのさ」

「…それで魂さえも売って亡霊にまでなったのね」

セレネはピセタが最早、この世の者ではない事を見た目と異臭で感じた。

「…そうさ!俺は生きる屍となった!これで永遠に生きるのさ!」

「…それは無理ね。私がそのまやかしを消すもの」
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