ヴィデオン・ジェイラ"月の魔道士"

……今日も街を散歩していると、ランタンを持ちながらリュナがキュイキュイと鳴く。

「…どうしたの?リュナ?」

「……キュイ!キュキュイ」

「…後ろになんかいる?」

セレネは振り返ろうとした時、足がもつれ転びそうになったが、間一髪の所でセレナに支えられた。

「……ありがとうリュナ…」

「…キュキュイ!キュウキュイ」

「…え?それよりなんか踏んだよって?」

うんうんと頷くリュナの言葉に下を向くと……。

そこには、セレネに踏まれ目を回す精霊が一匹おり、これはドヴェルグ国のスパイである小精霊だった。

セレネはカバンの中に入れていた瓶に小精霊を入れ、他にも居ないか街を見て回る。

…すると。あちこちに敵国の小精霊がおり、セレネは街の人々に被害が及ばない内に駆除しようと魔法を使った。

「…見えなき光の糸よ、彼の者を全て捉えよ!」

一瞬にして光で出来たような糸は、次から次へと小精霊の体を縛り上げる。

そして、最後の一体を見つけ縛るとセレネの前で束のように重なった。
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