第3章 百鬼をうち払え!
そこは闇に同化するように野原が広がり、草が膝の高さくらいまで伸びていた。
……と。どこからか現れたのか美しい女人が1人。
その姿は、息を飲む程美しく月明かりに照らされる様は天女のよう。
だが、相手は死者をも食らう、いわば怨霊と鬼の塊のなりの果だ。
麗蘭は右手で刀印を結びながら口を開いた。
「…お前が、しゃどくろが姫様と言っていたあやかしか?」
『…そうじゃ。がしゃどくろも可哀想にのぅ』
その女からは邪気も妖気も全く感じられず、違和感を感じる麗蘭。
邪気や妖気を消せるあやかしは存在するが、それはかなり強者なあやかしだけができる事。
麗蘭は自分の直感を信じ再び口を開いた。
「……人の姿を被るあやかしか。…本来はその姿ではないはず」
『…そこまで見破られては最早、この姿は無意味じゃ……』
そう言うと女は、いや正確には女の亡骸に入っていたあやかしは、その体を割くように現れようとする。
着ていた着物を脱ぎ、胸を真っ二つに割くようにして出る細長く毛むくじゃらの手足。合わせて8本はあるだろう。
そして、這い出るように現れた身体はがしゃどくろよりと同じか、少し大きく蜘蛛の姿をしていた。
間違いない。……土蜘蛛だ。
「……土蜘蛛か」
『…名を知っているとは話が早い』
「…お前は封印されていた筈!」
そう。土蜘蛛は大昔に徳のある法師により石像へと封印されていた。
だが、ここにいる百鬼の妖気が封印を打ち破り京へと闇を纏いながら入り込んだのだろう。
麗蘭は睨みつけるように土蜘蛛を見た。
『…くくく。その目付き気に入った』
「…相手が土蜘蛛だと知った以上、お前は私が調伏する!」
麗蘭は刀印に念を込め呪文を唱えた。
「…風魔、裂傷!」
だがその攻撃は他のあやかしが盾となり消えていく。
これでは霊力を消耗するばかり。
距離を取ろうとするが、他のあやかしが周りを囲んでいる為、中々距離は取りづらい。
……と。どこからか現れたのか美しい女人が1人。
その姿は、息を飲む程美しく月明かりに照らされる様は天女のよう。
だが、相手は死者をも食らう、いわば怨霊と鬼の塊のなりの果だ。
麗蘭は右手で刀印を結びながら口を開いた。
「…お前が、しゃどくろが姫様と言っていたあやかしか?」
『…そうじゃ。がしゃどくろも可哀想にのぅ』
その女からは邪気も妖気も全く感じられず、違和感を感じる麗蘭。
邪気や妖気を消せるあやかしは存在するが、それはかなり強者なあやかしだけができる事。
麗蘭は自分の直感を信じ再び口を開いた。
「……人の姿を被るあやかしか。…本来はその姿ではないはず」
『…そこまで見破られては最早、この姿は無意味じゃ……』
そう言うと女は、いや正確には女の亡骸に入っていたあやかしは、その体を割くように現れようとする。
着ていた着物を脱ぎ、胸を真っ二つに割くようにして出る細長く毛むくじゃらの手足。合わせて8本はあるだろう。
そして、這い出るように現れた身体はがしゃどくろよりと同じか、少し大きく蜘蛛の姿をしていた。
間違いない。……土蜘蛛だ。
「……土蜘蛛か」
『…名を知っているとは話が早い』
「…お前は封印されていた筈!」
そう。土蜘蛛は大昔に徳のある法師により石像へと封印されていた。
だが、ここにいる百鬼の妖気が封印を打ち破り京へと闇を纏いながら入り込んだのだろう。
麗蘭は睨みつけるように土蜘蛛を見た。
『…くくく。その目付き気に入った』
「…相手が土蜘蛛だと知った以上、お前は私が調伏する!」
麗蘭は刀印に念を込め呪文を唱えた。
「…風魔、裂傷!」
だがその攻撃は他のあやかしが盾となり消えていく。
これでは霊力を消耗するばかり。
距離を取ろうとするが、他のあやかしが周りを囲んでいる為、中々距離は取りづらい。