第3章 百鬼をうち払え!

「…何用だ清明」

「…麗蘭に伝えるのであろう?…式神になると」

「……たわけが。…我はまだこの小童を認めた訳ではない。……だが、我が必要ならば力を貸そう」

「…素直でないな」

やれやれと呆れたように翔聖を見る清明。

麗蘭は翔聖をまじまじと見ながら笑って口を開いた。

「…ふふ。翔聖、お願いします」

「……ならば小童、我と式神の契約を交わせ」

「…契約……?」

清明は、麗蘭に翔聖に指をかじらせるのだよと言うので、その通りにした。



すると………。
ふわりと麗蘭の周りに風が立ち込めたかと思うと……指から蛍のような光が舞い、再び指の中へと入った。



「…これで翔聖はお前の式となった」

「……私の……式神」

「…小童、一つ言っておく。我は小童の式神となったが、無礼は許さぬ。我は、まだ認めておらぬ」

翔聖は、牙をむき出して威嚇すると式札に戻り、麗蘭の手のひらに落ちた。

「…さて、朝餉も出来ただろうから食べて休むと良い。今宵も長い夜になるだろうからな」

清明の言葉に甘え朝餉を食べた麗蘭は、床に入り書物を読み漁る。

と、いうのも比叡山には伝説があり、百鬼夜行の妖怪が住まう所でもあったからだ。

一冊の本を手にした麗蘭は布団に横たわりなから読む。



百鬼夜行………これだ。

古より比叡山に住む。数はその名の通りで、多種多様なあやかしがいる。中でも、牛鬼は名がしれており人をも食らう。

その姿は、顔は牛。胴体は蜘蛛のような体をしているという。

少ない情報だったが、比叡山に牛鬼もいる事を知れた。


麗蘭は書物を仕舞い、床に戻り目を閉じた。
今宵は、百鬼を相手にするかも知れない……そう予感してー。



そして、子2つ時(23時30〜0時)。
麗蘭は翔聖と供に、清明の屋敷から歩くと半刻はかかるであろう比叡山へと向かった。

静まり返る夜の都は不気味で、これから待ち受ける戦いが容易ではない事を物語っているように思え、自ずと早まる足。


冷たい空気が吹き付ける中、比叡山の麓へとたどり着く。
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