第3章 百鬼をうち払え!

そして丑1つ時。(1時〜1時30分)

十分に休息を取った麗蘭は翔聖と供に、再び大きな妖気を感じ、左京の大安寺に向った。

大安寺にたどり着くと、中からはやはり禍々しい妖気。

間違いない。がしゃどくろのものだ。

麗蘭は右手で刀印を結びながら口を開く。

「……そこに居るのは分かっている。…姿を現せ、がしゃどくろ」

寺の戸を勢いよく開けたがしゃどくろは、麗蘭の居る寺の中庭へとその本来の姿を現した。



がしゃどくろは名の由来の通り、頭から体は全て骨で出来ており、髑髏で出来た目には眼球だけがあり、ギョロギョロと動かしている。

その体の大きさは、10尺(3m3cm)ほど。
大きさはあやかしの中でもかなり大きいといえるだろう。



『…うひひひ!昨夜の陰陽師か!……影を見抜いたか』

「…やはり影だったか」

『…本物のワシは昨夜のようにはいかぬわっ!』

がしゃどくろは素早く手を麗蘭に振りかざすと、勢いよく向ってきた。

麗蘭は結果を張り、攻撃を防ぐが相手はその体の大きさを利用し、押しつぶそうと力を込める。


「………くっ!なんという力……」

『…ひひひ!力の強さではワシの方が上じゃ』

更に体重を乗せるように覆い被さるがしゃどくろ。


このままでは、調伏も難しい。

麗蘭は人型を懐から取り出し念を込めると、がしゃどくろの後ろへと投げた。

投げられた人型は、麗蘭の姿を型取り五芒星を描くようにして、がしゃどくろを囲う。

そして印を結ぶと結界を張った。


『……ぐっ!……う、動けぬ!』


「…これはあやかしに施す結界。……昨夜の結界とは訳が違う」

麗蘭はがしゃどくろを睨むようにして、刀印に念を注ぐ。
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