第3章 百鬼をうち払え!

木々の葉は枯れ時折寒い風が吹付ける中、暦では神無月に入っていた。

麗蘭は翔聖と供に、妖気を感じた時に夜間の見回りをし、今宵も左京の方で、大きな妖気を感じ取った麗蘭は狩衣を翻しながら妖気の方へと近づく。


そこは、以前に清明と忠行と民衆の悩みを解決した、大安寺だった。

その大安寺には、前には感じられなかった黒く、闇を纏うような邪気を感じた。

麗蘭は中の戸に手をかけ、開く。


そこには…………。

数々の死体。それを貪るようにして食らう1つの大きな影。
その影は、骨が交わるようなガシャガシャという音を立て、麗蘭に目を向けた。


『……何奴じゃ?』

「…私は通りすがりの者。……少しばかり気になる事がある……」

妖怪や鬼には厳しい言葉遣いをしながら、麗蘭は右手で刀印を結びながら月の光が差し込んだ事で、そこにいた正体を見た。


「……お前は…がしゃどくろ…」

『…うひひひ!……少しはわしら妖怪の名も知れてるようだなぁ』

死体を全て丸呑みしたがしゃどくろは、更に大きくなった体を伸ばすようにして寺の外へと出る。


その後を追いかけて、そこに予め結界の仕掛けを施していた麗蘭は呪文を唱え、がしゃどくろを封じ込めた。

その様子をじっと見る翔聖。

がしゃどくろは結果に封じられた事に気付きもがく。

『…なんだこれはっ!わしは姫様の元へ帰らねばならぬ!!』

「………姫様?……誰の事かは知らんが、私に調伏される運命にある!」

『……くっ!貴様、陰陽師であったか!!』

口元に笑みを浮かべた麗蘭は、がしゃどくろを見据え呪文を唱えた。

「…浄化せよ 砕破せよ この邪を払い給え!」

そう唱えたと同時に、がしゃどくろは灰となって消えていったー。

あっけなく調伏された事に麗蘭は顔をしかめつつ、その場を立ち去る。



がしゃどくろといえば、日本古来の妖怪。
もう少し歯ごたえあるものばかりと思っていた麗蘭。

それと同時に、裏で操っている者がいる。そう感じていたのも事実だ。

麗蘭は気がかりになり、清明の屋敷を訪ねた。
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