第2章 彷徨う闇

少々強引な気がするが、あっさりと幻を見破った事と、清明の仕業だと見抜いた麗蘭はこれ以来、からかわれる事はなくなった。


それどころか、逆に尊敬の眼差しを向けられる事となる。



その理由としては、あの清明の術をなんなく見破った事。
そして瞬時に幻術を解いた事が関係していた。

陰陽師の中には、それなりに霊力がある者が多いが、実際に鬼と戦ったり調伏した者は数少ない。

術の方も霊力は高いが、術の効果を発揮できない陰陽師も多いのが現状であった。


本当に霊力も術も長けている者は、一握りだけと言われている程ー。


……それから数日後。

麗蘭は陰陽寮でひっそりと占術を行っていたのだが、何かがどこかで引っかかっているように感じた。

それは毎日、自分自身の見のあり方や、天変地異の前触れがないか、翌日の吉凶を占う為に占術はしているのだが、ここ2、3日何かがうごめいている。

そんな気がしていたのだ。


書物整理を行えば、今日は帰って良い事になっていたので、その仕事を終わらせ、もう帰っているだろう清明を追いかけるようにして、屋敷へと向った。


屋敷の門をくぐり茶の間に居た清明を見つけた麗蘭は簾越しに声をかける。


「……父上、麗蘭です。……今、よろしいですか?」

「…ああ、入りなさい」

清明は式神に茶を持ってくるよう指示し、麗蘭を部屋に入れた。

「…父上、ここ2、3日なのですが、何かが引っかかっている、うごめいている気がしてならないのです」

「……私も同じ考えだ。……良くない何かが京にいる」

「…はい。それもあちこちを彷徨い歩いているような……気を辿ろうとしてもその気はすぐに消されて読み取れません」

「……やはりか。私も気を凝らしたのだが、煙のように消えてしまった」

清明はそこまで言うと、式神の翔聖を呼び出した。
8/9ページ
スキ