第1章 開花する力
「…そうなっては人々が危ない」
「…わしと清明がいればお主も心強いはず」
「…はい!」
麗蘭の言葉に2人は微笑み、明日に備えしっかり休息しなさいと言い、麗蘭はその言葉に甘え自分の部屋に戻った。
茶の間に残った2人は盃を交わす為、ゆっくりと語り始めた。
「……覚えておるか?お前が麗蘭と同じ歳の頃、旅の供についたお前が百鬼夜行を見て、わしに教えた事があったのを」
「…はい、覚えております。あの時は加茂様は酔っておられました」
懐かしむように言葉を発した清明は銚子を傾け忠行の猪口に酒を注いだ。
「…あの時はこうしてお前と盃を交わせるとは思いもしなかった」
「…今こうして盃を交わせる事、光栄に思います。……百鬼夜行を見た時、加茂様は見事な姿隠しの術を使い、鬼から私達を守り抜いて下さった。……それを機に私を弟子にして下さいました」
「……類まれなる才能をお前に感じた。そして、現にこうしてその才能は開花しておる。………麗蘭もいずれお前と同じ霊力を身につけるだろうな」
忠行は猪口を傾け口に含むと、暗くなってきた空を眺めた。
清明もつられるように眺めると再び口を開いた。
「……今宵は良い満月が見れるでしょう」
「…ああ。清明、今宵は家に泊まるが良い」
「………ありがたき幸せ」
清明がそう言ったと同時にどこからか箏の音が聞こえてきた。
「……麗蘭か」
「…お前の娘子は実に良い調べを奏でる。あれ程の腕前なら帝の耳に入るのも早いかも知れんな」
「…帝はそういう物には耳が早いですからね」
「…宮中で噂になるやも知れぬぞ?箏を奏でる若き陰陽師………とな」
「……さてはそれが狙いでしたか」
清明は、自分が麗蘭の側に居ても怪しまれないよう忠行が事を運ぼうとしているのに気付き、2人は意味ありげに微笑んだ後、箏の音に耳を傾けながら猪口を傾けた。
「…わしと清明がいればお主も心強いはず」
「…はい!」
麗蘭の言葉に2人は微笑み、明日に備えしっかり休息しなさいと言い、麗蘭はその言葉に甘え自分の部屋に戻った。
茶の間に残った2人は盃を交わす為、ゆっくりと語り始めた。
「……覚えておるか?お前が麗蘭と同じ歳の頃、旅の供についたお前が百鬼夜行を見て、わしに教えた事があったのを」
「…はい、覚えております。あの時は加茂様は酔っておられました」
懐かしむように言葉を発した清明は銚子を傾け忠行の猪口に酒を注いだ。
「…あの時はこうしてお前と盃を交わせるとは思いもしなかった」
「…今こうして盃を交わせる事、光栄に思います。……百鬼夜行を見た時、加茂様は見事な姿隠しの術を使い、鬼から私達を守り抜いて下さった。……それを機に私を弟子にして下さいました」
「……類まれなる才能をお前に感じた。そして、現にこうしてその才能は開花しておる。………麗蘭もいずれお前と同じ霊力を身につけるだろうな」
忠行は猪口を傾け口に含むと、暗くなってきた空を眺めた。
清明もつられるように眺めると再び口を開いた。
「……今宵は良い満月が見れるでしょう」
「…ああ。清明、今宵は家に泊まるが良い」
「………ありがたき幸せ」
清明がそう言ったと同時にどこからか箏の音が聞こえてきた。
「……麗蘭か」
「…お前の娘子は実に良い調べを奏でる。あれ程の腕前なら帝の耳に入るのも早いかも知れんな」
「…帝はそういう物には耳が早いですからね」
「…宮中で噂になるやも知れぬぞ?箏を奏でる若き陰陽師………とな」
「……さてはそれが狙いでしたか」
清明は、自分が麗蘭の側に居ても怪しまれないよう忠行が事を運ぼうとしているのに気付き、2人は意味ありげに微笑んだ後、箏の音に耳を傾けながら猪口を傾けた。