第1章 開花する力
清明は懐から紙と筆を取り出し、紙に呪文を書くと、女へ投げつけ口を開く。
「…魔を清めたまえ、砕破したまえ、急々如律令!」
その札を浴びた怨霊は奇声をあげながら浄化されていったー。
調伏し終えた清明は麗蘭の肩を叩き、もう大丈夫だと言った。
「……今の禍々しい邪気は、怨霊だったのですね」
「…ああ。惨いものだ。自害した者に怨霊が憑依していたからな」
「…私もいつか父上のように戦えるのでしょうか?」
麗蘭は不安になった。今はまだ能力を封じられているので、姿形は見えはしないが、独特の気は肌で何となく分かった。
そんな麗蘭を見た清明は、家の門をくぐり抜けながら頭を撫でる。
「…案ずるな。お前は私の血を分けた娘。お前の霊力はいずれ兄達をも超えるだろう」
「…………兄上をですか?」
「……特に吉平に並ぶ陰陽師にな」
その言葉に麗蘭はじっと清明を見つめた。今や吉平は清明と並び称される陰陽師。
そんな風になれるかはまだ想像も出来ないが、清明の言葉には説得力があり、未来をも見通す能力があるので、麗蘭はそれ以上は言わなかった。
久々に母の料理を食べた麗蘭は、忠行の家は歩けば直ぐだというのに清明は何かあってはならんと良い、麗蘭を送り届けた。
清明は門まで送り届けると、また明日なと言い来た道を去っていく。
その背を見送った麗蘭は忠行がいるであろう、茶の間へと向かう。
「……ただ今帰りました」
「…ああ。どうせ清明の家で夕餉を食べてきたのだろう?それにここまでお主を送り届けた」
その場面を見ていたかのようにあっさりと言う忠行に麗蘭は苦笑した。
「……まあ怨霊と出くわしたのもあるから、念には念を入れたのだろう」
「………ご存知でしたか」
「…先程の占いで出ていたからな。もしやと思ったが、清明と一緒だろうと見通した」
忠行の言葉に納得した麗蘭は、やはり陰陽師はただならぬ洞察力と先読みも必要なのだと改めて感じた。
「……さて、麗蘭。今日は疲れただろう。床に入りなさい」
麗蘭はその言葉に甘え、床に入り布団の中で天文の書を読んだが、半刻もしない内に、深い眠りへと落ちた。
「…魔を清めたまえ、砕破したまえ、急々如律令!」
その札を浴びた怨霊は奇声をあげながら浄化されていったー。
調伏し終えた清明は麗蘭の肩を叩き、もう大丈夫だと言った。
「……今の禍々しい邪気は、怨霊だったのですね」
「…ああ。惨いものだ。自害した者に怨霊が憑依していたからな」
「…私もいつか父上のように戦えるのでしょうか?」
麗蘭は不安になった。今はまだ能力を封じられているので、姿形は見えはしないが、独特の気は肌で何となく分かった。
そんな麗蘭を見た清明は、家の門をくぐり抜けながら頭を撫でる。
「…案ずるな。お前は私の血を分けた娘。お前の霊力はいずれ兄達をも超えるだろう」
「…………兄上をですか?」
「……特に吉平に並ぶ陰陽師にな」
その言葉に麗蘭はじっと清明を見つめた。今や吉平は清明と並び称される陰陽師。
そんな風になれるかはまだ想像も出来ないが、清明の言葉には説得力があり、未来をも見通す能力があるので、麗蘭はそれ以上は言わなかった。
久々に母の料理を食べた麗蘭は、忠行の家は歩けば直ぐだというのに清明は何かあってはならんと良い、麗蘭を送り届けた。
清明は門まで送り届けると、また明日なと言い来た道を去っていく。
その背を見送った麗蘭は忠行がいるであろう、茶の間へと向かう。
「……ただ今帰りました」
「…ああ。どうせ清明の家で夕餉を食べてきたのだろう?それにここまでお主を送り届けた」
その場面を見ていたかのようにあっさりと言う忠行に麗蘭は苦笑した。
「……まあ怨霊と出くわしたのもあるから、念には念を入れたのだろう」
「………ご存知でしたか」
「…先程の占いで出ていたからな。もしやと思ったが、清明と一緒だろうと見通した」
忠行の言葉に納得した麗蘭は、やはり陰陽師はただならぬ洞察力と先読みも必要なのだと改めて感じた。
「……さて、麗蘭。今日は疲れただろう。床に入りなさい」
麗蘭はその言葉に甘え、床に入り布団の中で天文の書を読んだが、半刻もしない内に、深い眠りへと落ちた。