第1章 開花する力
陰陽寮から出た2人は、朱雀門を抜け1条通りへと歩を進める。
……しかし、二条大路に差し掛かった時。
清明は足を止めた。麗蘭も何事かと前を見ようとしたが、清明の背によって阻止される。
そして、麗蘭にだけ聞こえる声で口を開いた。
「…麗蘭。目と耳を塞いでいなさい。私が肩を叩くまでは開けてはならん。……良いね?」
麗蘭は言われた通り、直ぐに目を固くつぶり、耳も両手で塞いだ。
それを確認した清明は、目の前にいた禍々しい邪気を纏う女を睨みつける。
「…まだ日も明るいというのに、何用だ。見た所、怨霊だな」
その女は腰まである長い黒髪を結いもせず、身なりは中級貴族だろうが、その品格は失われ着物は貧相で所々破れていた。
顔に生気はなく、唇だけ赤い紅が塗ってあった。
『……その童……その童をわらわにおくれ』
女は清明の後ろに居る麗蘭へと指を指した。
「……やれぬ……と言ったら?」
『…2人とも呪い殺すまで。だが、霊力を吸い尽くしてからなぁ……』
女は不吉な笑みを浮かべて二歩近づいたが、清明は口元に笑みを浮かべた。
「…ほう?私も食らうつもりか。……救ってやろうと思ったが気が変わった。お前はゆくべき所に葬ってやろう」
『…ゆくべき所……それはわらわの腹の中じゃ!』
女は勢いよく清明の方へ飛ぶように食らいつこうと、長い爪を振りかざしてきた。
だが清明は素早く五芒星を指で宙に書き、禁と唱える。
五芒星は悪霊退散の効果もあり、怨霊はこの結界の中に入る事が出来ない。
結界で近寄れない女は怒りを露わにし、髪を逆立てた。
『……おのれ陰陽師!……我を結界で近付けれないようにしたか』
「…ほう?少しは陰陽の術を知っているようだな?しかし、その体。そう長くは持つまい。所詮は借り物だ」
結界に長い爪を突き立てている女は、先程と打って変わって、顔の半分ほどが骨へと変わっていた。
『……そこまで見破る霊力!…わらわのものにしてくれる!』
女は髪を逆立てながら、口から鋭い牙を覗かせると結界を破ろうと、歯を立てた。
「…諦めの悪い奴だ。仕方ない。その腐りきった魂もろとも浄化してやろう」
……しかし、二条大路に差し掛かった時。
清明は足を止めた。麗蘭も何事かと前を見ようとしたが、清明の背によって阻止される。
そして、麗蘭にだけ聞こえる声で口を開いた。
「…麗蘭。目と耳を塞いでいなさい。私が肩を叩くまでは開けてはならん。……良いね?」
麗蘭は言われた通り、直ぐに目を固くつぶり、耳も両手で塞いだ。
それを確認した清明は、目の前にいた禍々しい邪気を纏う女を睨みつける。
「…まだ日も明るいというのに、何用だ。見た所、怨霊だな」
その女は腰まである長い黒髪を結いもせず、身なりは中級貴族だろうが、その品格は失われ着物は貧相で所々破れていた。
顔に生気はなく、唇だけ赤い紅が塗ってあった。
『……その童……その童をわらわにおくれ』
女は清明の後ろに居る麗蘭へと指を指した。
「……やれぬ……と言ったら?」
『…2人とも呪い殺すまで。だが、霊力を吸い尽くしてからなぁ……』
女は不吉な笑みを浮かべて二歩近づいたが、清明は口元に笑みを浮かべた。
「…ほう?私も食らうつもりか。……救ってやろうと思ったが気が変わった。お前はゆくべき所に葬ってやろう」
『…ゆくべき所……それはわらわの腹の中じゃ!』
女は勢いよく清明の方へ飛ぶように食らいつこうと、長い爪を振りかざしてきた。
だが清明は素早く五芒星を指で宙に書き、禁と唱える。
五芒星は悪霊退散の効果もあり、怨霊はこの結界の中に入る事が出来ない。
結界で近寄れない女は怒りを露わにし、髪を逆立てた。
『……おのれ陰陽師!……我を結界で近付けれないようにしたか』
「…ほう?少しは陰陽の術を知っているようだな?しかし、その体。そう長くは持つまい。所詮は借り物だ」
結界に長い爪を突き立てている女は、先程と打って変わって、顔の半分ほどが骨へと変わっていた。
『……そこまで見破る霊力!…わらわのものにしてくれる!』
女は髪を逆立てながら、口から鋭い牙を覗かせると結界を破ろうと、歯を立てた。
「…諦めの悪い奴だ。仕方ない。その腐りきった魂もろとも浄化してやろう」