第1章 開花する力
「……ありがたきお言葉、痛み入ります」
「…これからよろしくお願いします。忠行様……いえ、父上」
麗蘭の言葉と、清々しい笑顔を見た2人は、この様子なら大丈夫だろうと確信した。
……こうして、忠行の家でお世話になる事になった麗蘭は、せっせと家の家事や学問を積極的に行うようになった。
そんな麗蘭を見た忠行は褒美に箏を授けようと茶の間に呼んだ。
「…麗蘭」
「…はい、父上」
「…この所、家の手伝いや学問を勉強していると聞く」
「…はい。少しでも早く陰陽の術を学び、習得し、陰陽寮に入る。これが私の夢ですから」
正座をしながら、はっきりとした物言いに、幼き清明を思い出させるような強い眼差しに忠行は笑みを見せこう言った。
「…関心だな。麗蘭、お前にこれをやろう。いつも熱心にやり遂げている褒美だ」
「…これは箏……ありがとうございます!父上」
「…箏は好きか?」
「…はい、よく弾いておりました」
「…ほう、なら聞かせてはくれぬか?」
忠行は麗蘭が琴を弾けると言うので、興味津々で琴を渡した。
麗蘭は、箏を大事そうに撫でた後………。
箏爪を付け、そっと指を動かし音を奏でる。
その音はとても優しく温かく、聞く者を魅了した。
忠行もその1人。弾き終わる頃には知らず知らずの内に涙を流していた。
「………ああ、良い音だ。…温かくなんて美しい。麗蘭、また聞かせてはくれぬか」
「…はい、もちろんです。今のは父上を思って奏でたものにございます。このような調べであればいつでも」
清明とはまた違う微笑みを見せた麗蘭は、お辞儀をして箏を大事そうに抱えて部屋に置いた。
そして、また奏でてゆく。
麗蘭は箏が好きであった。小さい頃、母に教えてもらったのもあり、自分の思いを音にするのが好きなのだ。
だからこそ、聞く者を魅了するのかも知れない。
忠行の家から聞こえる箏の音に誰もが思わず立ち止まり、その音に聞き惚れていた者もいる程に。
「…これからよろしくお願いします。忠行様……いえ、父上」
麗蘭の言葉と、清々しい笑顔を見た2人は、この様子なら大丈夫だろうと確信した。
……こうして、忠行の家でお世話になる事になった麗蘭は、せっせと家の家事や学問を積極的に行うようになった。
そんな麗蘭を見た忠行は褒美に箏を授けようと茶の間に呼んだ。
「…麗蘭」
「…はい、父上」
「…この所、家の手伝いや学問を勉強していると聞く」
「…はい。少しでも早く陰陽の術を学び、習得し、陰陽寮に入る。これが私の夢ですから」
正座をしながら、はっきりとした物言いに、幼き清明を思い出させるような強い眼差しに忠行は笑みを見せこう言った。
「…関心だな。麗蘭、お前にこれをやろう。いつも熱心にやり遂げている褒美だ」
「…これは箏……ありがとうございます!父上」
「…箏は好きか?」
「…はい、よく弾いておりました」
「…ほう、なら聞かせてはくれぬか?」
忠行は麗蘭が琴を弾けると言うので、興味津々で琴を渡した。
麗蘭は、箏を大事そうに撫でた後………。
箏爪を付け、そっと指を動かし音を奏でる。
その音はとても優しく温かく、聞く者を魅了した。
忠行もその1人。弾き終わる頃には知らず知らずの内に涙を流していた。
「………ああ、良い音だ。…温かくなんて美しい。麗蘭、また聞かせてはくれぬか」
「…はい、もちろんです。今のは父上を思って奏でたものにございます。このような調べであればいつでも」
清明とはまた違う微笑みを見せた麗蘭は、お辞儀をして箏を大事そうに抱えて部屋に置いた。
そして、また奏でてゆく。
麗蘭は箏が好きであった。小さい頃、母に教えてもらったのもあり、自分の思いを音にするのが好きなのだ。
だからこそ、聞く者を魅了するのかも知れない。
忠行の家から聞こえる箏の音に誰もが思わず立ち止まり、その音に聞き惚れていた者もいる程に。