第1章 京を練り歩く者達
その先頭に立っていた、紺色の着物に黒の羽織を右肩に掛け、顔を隠すように薄い青紫色の被衣を頭から被った人物が朱雀門を抜けた。
先程までは、鬼火や狐火といったものがさまよっているだけかと思っていたのだが…。
門を過ぎた事で人の姿をした者達を松明の灯りで鮮明に見た都の守り人は、恐怖のあまり口々に叫び声を上げた。
「…ひいいっ!妖だ!妖が出たぞっ!」
「…あ、妖の百鬼夜行じゃっ!な、なんと恐ろしや!」
「…皆の者、逃げろっ!食われるぞー!」
そう言うや否や、まるで蜘蛛の子を散らすようにしてどこかへと逃げていった者達。
それを見た一番に見た被衣を被った人物は、口元を上げニヤリと妖しく笑みを浮かべた後、静かに口を開いた。
「…フッ。妖の百鬼夜行か。…良い響きだ。今は少人数だが、いずれそうなるさ。…さあ、ゆくぞ皆の者。…冬牙、拓臣。私の隣に並んでくれ」
「…おうよ!黒銀の大将」
「…御意」
拓臣と呼ばれた、猪と人が混ざった姿をした者と…。
冬牙と呼ばれた、天狗の面を被った二人の男は、黒銀という名の男の両脇に立ち、ゆっくりと歩を進め羅生門へと消えていった。
先程までは、鬼火や狐火といったものがさまよっているだけかと思っていたのだが…。
門を過ぎた事で人の姿をした者達を松明の灯りで鮮明に見た都の守り人は、恐怖のあまり口々に叫び声を上げた。
「…ひいいっ!妖だ!妖が出たぞっ!」
「…あ、妖の百鬼夜行じゃっ!な、なんと恐ろしや!」
「…皆の者、逃げろっ!食われるぞー!」
そう言うや否や、まるで蜘蛛の子を散らすようにしてどこかへと逃げていった者達。
それを見た一番に見た被衣を被った人物は、口元を上げニヤリと妖しく笑みを浮かべた後、静かに口を開いた。
「…フッ。妖の百鬼夜行か。…良い響きだ。今は少人数だが、いずれそうなるさ。…さあ、ゆくぞ皆の者。…冬牙、拓臣。私の隣に並んでくれ」
「…おうよ!黒銀の大将」
「…御意」
拓臣と呼ばれた、猪と人が混ざった姿をした者と…。
冬牙と呼ばれた、天狗の面を被った二人の男は、黒銀という名の男の両脇に立ち、ゆっくりと歩を進め羅生門へと消えていった。