あとがき
おまけストーリー
長年の癖で、ふと愛称で呼びたくなった拓臣は黒銀を横目でちらりと見て口を開いた。
「…なあ、黒銀の大将」
「…大将って呼ぶのはよせ、拓臣」
困惑した表情を浮かべた黒銀を見た拓臣は照れ隠しをするように頬を二、三回掻いて再び口を開いた。
「そう言われてもな…」
「大将は大将だ」
「…冬牙もか」
今まで黙っていた冬牙にまで愛称で呼ばれた黒銀は困ったようにそっぼを向いた。
その話題を替えるようにして月を眺めた拓臣は冬牙と黒銀の顔を見た後、ゆっくりと口を開いた。
「それに今は三人だけだ。顔を隠す必要もないだろ」
「…いつもは顔を隠しているからな」
「それは冬牙と大将だけだろ?吾はこんな面だ。隠す事なんざねぇようなもんだ」
そう。
普段はお互い顔を隠してある面や被衣を今日は一族のお頭同士で語り合う日である為、外してあったのだ。
「…俺とて天狗とは言え、面などしたくはない。あれは息苦しいからな」
「なんだ冬牙?あれはお前が好みでしてるんじゃなかったのか?吾はてっきり好みなんだと思っとったわい‼」
豪快に笑った拓臣に冬牙は苦笑しながら口を開いた。
「……まさか。…そういう拓臣も、そんな重そうな数珠いつもぶら下げてるじゃねーか」
「これは吾の好みじゃ‼」
「…好みなのかよ」
「おうよっ‼」
お互い笑いあった二人を見ていた黒銀は堪えていた笑い声を上げながら口を開いた。
「はっはっはっは!拓臣も冬牙も仲が良いな!私も冬牙と同じで、本当は被衣なんざ被りたくないさ」
「大将もか?」
「…無論だ。あんなもの被ってたら前が良く見えんからな」
「…ならいっそ外しちまうか?」拓臣の発言に二人は考え込む。
「…それもそれでなんだか百鬼夜行って感じがしねーな」
ぼそっと呟いた冬牙の発言に、黒銀が頷き口を開いた。
「そうだな。私達、百鬼夜行は人間に面白くもあり、怖いものとして見てもらわねばな」
それを聞いた二人は、改めて百鬼夜行がどんなものでありたいかを認識する事が出来た。
「…そうと決まれば大将!今宵も行こうぜ?」
「拓臣はいつも突然だな。だが、それも悪くない」
「良いだろう。共に行こう拓臣、冬牙」
「「ああ!ついて行くぜ大将っ!!」」
いざ、百鬼夜行の始まりだっ!!
長年の癖で、ふと愛称で呼びたくなった拓臣は黒銀を横目でちらりと見て口を開いた。
「…なあ、黒銀の大将」
「…大将って呼ぶのはよせ、拓臣」
困惑した表情を浮かべた黒銀を見た拓臣は照れ隠しをするように頬を二、三回掻いて再び口を開いた。
「そう言われてもな…」
「大将は大将だ」
「…冬牙もか」
今まで黙っていた冬牙にまで愛称で呼ばれた黒銀は困ったようにそっぼを向いた。
その話題を替えるようにして月を眺めた拓臣は冬牙と黒銀の顔を見た後、ゆっくりと口を開いた。
「それに今は三人だけだ。顔を隠す必要もないだろ」
「…いつもは顔を隠しているからな」
「それは冬牙と大将だけだろ?吾はこんな面だ。隠す事なんざねぇようなもんだ」
そう。
普段はお互い顔を隠してある面や被衣を今日は一族のお頭同士で語り合う日である為、外してあったのだ。
「…俺とて天狗とは言え、面などしたくはない。あれは息苦しいからな」
「なんだ冬牙?あれはお前が好みでしてるんじゃなかったのか?吾はてっきり好みなんだと思っとったわい‼」
豪快に笑った拓臣に冬牙は苦笑しながら口を開いた。
「……まさか。…そういう拓臣も、そんな重そうな数珠いつもぶら下げてるじゃねーか」
「これは吾の好みじゃ‼」
「…好みなのかよ」
「おうよっ‼」
お互い笑いあった二人を見ていた黒銀は堪えていた笑い声を上げながら口を開いた。
「はっはっはっは!拓臣も冬牙も仲が良いな!私も冬牙と同じで、本当は被衣なんざ被りたくないさ」
「大将もか?」
「…無論だ。あんなもの被ってたら前が良く見えんからな」
「…ならいっそ外しちまうか?」拓臣の発言に二人は考え込む。
「…それもそれでなんだか百鬼夜行って感じがしねーな」
ぼそっと呟いた冬牙の発言に、黒銀が頷き口を開いた。
「そうだな。私達、百鬼夜行は人間に面白くもあり、怖いものとして見てもらわねばな」
それを聞いた二人は、改めて百鬼夜行がどんなものでありたいかを認識する事が出来た。
「…そうと決まれば大将!今宵も行こうぜ?」
「拓臣はいつも突然だな。だが、それも悪くない」
「良いだろう。共に行こう拓臣、冬牙」
「「ああ!ついて行くぜ大将っ!!」」
いざ、百鬼夜行の始まりだっ!!
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