番外編 祝福の時
「…そちは幸せ者よのぉ」
「…あら、姫様こそ素敵な殿がいらっしゃいますでしょ?こちは、お似合いだと思いますわ!」
舞雪の言葉を聞いた凛音は扇子で口元を隠しながら微笑んだ。
その様子を見ていた氷雨は冷やかそうと口を開いた。
「…なんだなんだ?二人の愛の語り合いか?」
「…良ければ、東山の姫様も加わって?」
「…なっ!?我は良いっ!」
突然、話を振られた氷雨は真っ赤になった顔を見られまいと早足で奥の方へと進んだ。
「まあ姫様!歩くのがお早いのね」
「……暫くそっとしておいてやろう。…それよりそちの見たがっていた桜、見事じゃの」
そっと隣に並んだ舞雪の言葉に、凛音は桜を見ながら問いかけた。
「…そうですわね。姫様も桜はお好き?」
「ああ悪くはない」
「好きという事ですわね?」
「………」
無言の舞雪に対し、それを好きだと判断した凛音は扇子で口元をまた隠しながらも、嬉しゅうございますと微笑んだ。
…それから一刻過ぎた頃。
照れ隠しをしていた氷雨が戻って来て、黄色の小さな花を何本か手に持ち、中から二本取り出して凛音の前に立った。
「…奥の方に生えていたのを持ってきた。…こういうの好きだろう?」
「…まあ!なんて可愛らしいお花っ!こちに下さるの?」
「…そ、その…似合うと思ってな……」
少しうつ向き、心なしか赤くなっている顔を見られまいと言った氷雨に凛音は嬉しさのあまり飛び付いた。
「姫様っ!ありがとうございます!姫様の事、大好きよっ!」
「…引っ付くなっ!これ……見てないでなんとかしてくれぬか!」
氷雨に助けを求められた舞雪は、扇子で口元を隠しながらも良いではないかと引き留めなかった。
「…くっ‼裏切り者めっ‼………我の術で烏にしてくれるっ!」
「……わらわを烏に?面白い。ではそなたは、蛙じゃな」
今にでも火花が散りそうな程、不敵な笑みで睨む二人に抱きついた凛音は笑顔でこう言った。
「……まあまあ姫様方?せっかくのお花見ですもの、楽しみましょう?……ねっ?」
この柔らかな笑顔を見ては、誰も敵わない。
二人は諦めるようにため息を漏らし、もう一度花見を楽しんだ後、それぞれの館に帰っていったのであった……。
「…あら、姫様こそ素敵な殿がいらっしゃいますでしょ?こちは、お似合いだと思いますわ!」
舞雪の言葉を聞いた凛音は扇子で口元を隠しながら微笑んだ。
その様子を見ていた氷雨は冷やかそうと口を開いた。
「…なんだなんだ?二人の愛の語り合いか?」
「…良ければ、東山の姫様も加わって?」
「…なっ!?我は良いっ!」
突然、話を振られた氷雨は真っ赤になった顔を見られまいと早足で奥の方へと進んだ。
「まあ姫様!歩くのがお早いのね」
「……暫くそっとしておいてやろう。…それよりそちの見たがっていた桜、見事じゃの」
そっと隣に並んだ舞雪の言葉に、凛音は桜を見ながら問いかけた。
「…そうですわね。姫様も桜はお好き?」
「ああ悪くはない」
「好きという事ですわね?」
「………」
無言の舞雪に対し、それを好きだと判断した凛音は扇子で口元をまた隠しながらも、嬉しゅうございますと微笑んだ。
…それから一刻過ぎた頃。
照れ隠しをしていた氷雨が戻って来て、黄色の小さな花を何本か手に持ち、中から二本取り出して凛音の前に立った。
「…奥の方に生えていたのを持ってきた。…こういうの好きだろう?」
「…まあ!なんて可愛らしいお花っ!こちに下さるの?」
「…そ、その…似合うと思ってな……」
少しうつ向き、心なしか赤くなっている顔を見られまいと言った氷雨に凛音は嬉しさのあまり飛び付いた。
「姫様っ!ありがとうございます!姫様の事、大好きよっ!」
「…引っ付くなっ!これ……見てないでなんとかしてくれぬか!」
氷雨に助けを求められた舞雪は、扇子で口元を隠しながらも良いではないかと引き留めなかった。
「…くっ‼裏切り者めっ‼………我の術で烏にしてくれるっ!」
「……わらわを烏に?面白い。ではそなたは、蛙じゃな」
今にでも火花が散りそうな程、不敵な笑みで睨む二人に抱きついた凛音は笑顔でこう言った。
「……まあまあ姫様方?せっかくのお花見ですもの、楽しみましょう?……ねっ?」
この柔らかな笑顔を見ては、誰も敵わない。
二人は諦めるようにため息を漏らし、もう一度花見を楽しんだ後、それぞれの館に帰っていったのであった……。