第2章 我らが百鬼夜行

「…ああ。貴方様のお陰だ」

龍の前にいた黒銀が顔は見えないが、笑っているような優しい音色でお礼を言った。

 

『…なあに、他愛ない。わしは初めからお主達にこの都を盛り上げて欲しかったからの~』

「…んなっ!?」

すっとんきょんな声を出した拓臣に空龍は笑いだした。



『はっはっはっは!この都を盛り上げてくれた褒美じゃ!お主達も楽しもうぞ!!』

そう言った空龍は高々と空に舞ったかと思うと、赤や黄色、紫などの花火を夜空に咲かせ、またどこかへと消えていった。




「……まったく粋な事をなさる方だ」

「…しっかし、初めて会ったあの日から企んでたのか?」

冬牙と拓臣の呟きを聞いた黒銀は、もう一度空龍が消えていった空を眺め、笑い声を上げながら口を開いた。

「…くくくっ。まあ良いさ。おい、お前達あれが空龍様だ。俺達を百鬼にしてくれたお方だ!詳しい事は分からんが…さあ、参るぞっ!」


「おうっ!黒銀の大将っ!!」

「…ああそうだな。大将」

拓臣と冬牙が黒銀の声に答え、再び始まった雅やかな音色と共に、羅生門をくぐり抜け、妖達の百鬼夜行は無事に終えたのであったー。

                    完。

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