第2章 我らが百鬼夜行

…日もすっかり暮れた酉の刻。

今日は祭りという事もあり、早朝から人間も妖も今か今かと祭りが始まるのを待ち望んでいた。

そして、一つ、また一つと屋台に明かりが灯され、太鼓の音が鳴り響きいたと同時に物珍しさに集まる人々。


活気と熱気に道溢れた戌の刻……。

普段より少し早いが、いよいよ百鬼夜行が始まった。



森から出た先にある鳥居をくぐり抜け一条大路から入った妖達は静かに三味線や小鼓などを奏でる。


音が大きくなり、 笛を奏ながら現れた黒銀達の姿を見た人々は思わずため息をもらしていた。


「…おおお!なんと美しい調べと、おなご達じゃろかっ‼」

「見事っ!見事なるぞ‼」

貴族や平民が固唾を飲んでゆっくりと朱雀門を抜ける彼らを拝み始める。



……術を施しているからか、毎度の事ながら天女だと勘違いしているらしい。


だが、それも彼らの思惑なのだ。自分達の存在を晒せば神と拝むか、鬼と呼ばれ退治されるかのどちらかである事は目に見えていた。


その為、少し夢心地なまま勘違いしてくれていた方が都合が良いのだ。


ゆっくりゆっくりと歩を進め羅生門に近付いた時…。 

金色の龍が舞い降りて来て、静かにこう言った。


『……お主達はあの時のじゃな?……ほほう?本当に百鬼連れておるわい』
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