第6章 新たな始まり
そして、エレンの部屋の壁にかけてある額縁に大事そうに入れられた辛子色のドレスが何よりも物語っていた。
このドレスはあちこちが破け、とても着れるものではないが、エレンにとっては戦いで苦戦した証拠と記憶がつまった、宝物になった。
だが、一番の宝物はみんなである事をあの戦いで改めて実感出来たのも事実だ。
それがどんなに大切で、かけがえのない存在であるか。
今の自分になら、その答えがはっきりと分かるだろう。
十三歳になったエレンは、ある手紙を読んでから、旅に出ようと決めた日と同じように身支度して、宮殿へと向かっていた。(魔法使いの世界では、十三歳はもう立派な大人だ。そしてこの年齢になると、他国へ旅をする事が認められている)
「……失礼します。お父様、お母様」
「…やはり行くのか」
あの日のように全てを見透かしたような国王の声にエレンは頷いた。
「…スフレさんに会いにいくのね?」
「…はい」
……そう。
エレンは今朝届いたスフレからの手紙をきっかけに、旅をする決意をしていたのだ。
違うのは、幼い頃に肩の下まで伸ばし、二つに縛っていた髪を肩の上で切り、前髪も真ん中から左右に分けた事くらいだ。
「…では、行って参ります」
二人に挨拶をしたエレンはミーシャと共に、ライルが待つ中庭へと向かった。
このドレスはあちこちが破け、とても着れるものではないが、エレンにとっては戦いで苦戦した証拠と記憶がつまった、宝物になった。
だが、一番の宝物はみんなである事をあの戦いで改めて実感出来たのも事実だ。
それがどんなに大切で、かけがえのない存在であるか。
今の自分になら、その答えがはっきりと分かるだろう。
十三歳になったエレンは、ある手紙を読んでから、旅に出ようと決めた日と同じように身支度して、宮殿へと向かっていた。(魔法使いの世界では、十三歳はもう立派な大人だ。そしてこの年齢になると、他国へ旅をする事が認められている)
「……失礼します。お父様、お母様」
「…やはり行くのか」
あの日のように全てを見透かしたような国王の声にエレンは頷いた。
「…スフレさんに会いにいくのね?」
「…はい」
……そう。
エレンは今朝届いたスフレからの手紙をきっかけに、旅をする決意をしていたのだ。
違うのは、幼い頃に肩の下まで伸ばし、二つに縛っていた髪を肩の上で切り、前髪も真ん中から左右に分けた事くらいだ。
「…では、行って参ります」
二人に挨拶をしたエレンはミーシャと共に、ライルが待つ中庭へと向かった。