第6章 新たな始まり

きっとこれから先の未来は、誰もが願っていた平和で共存し合えるような世界になるだろう。

エレンはベッドに寝転びながら、近い将来がそうなって欲しいと心の中で強く願いながら目を閉じた。


この事は生涯、ずっと忘れない。

いや、忘れる事など出来ないような体験をしたのだと鮮明に思い出した後、今までの疲れが押し寄せるようにして、深い眠りへと誘われいった。








………それから一年後。

魔女と魔法使いとの関係は、誤解も解けた事で良好となり、闇の精霊の魔力の効力も完全に失われた今、平和な国へとなった。


スフレはあの後、魔女の抜け道へと帰っていった。

更に、おそれ山と魔女の抜け道は、今ではスケラー・ルヴェール"癒しの地"と呼ばれ、魔女の長をしているのだと風の噂で耳にした。





評議員三人組はというと、ライルが吐いたドラゴンブレスによって、幻となって消えていった。

あの三人は、この時代よりもずっと昔の人で、アグムやシェレーナと同じく、人の姿をした幻に過ぎなかったのだ。


まあ、それが当然と言えばそうなのだが、どのみち人が亡くなっているのには変わりない。

そんなのは、とても悲しく辛い事。

………それは、身を持って体験したエレンが一番よく知っていた。
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