第6章 新たな始まり

モーリス国王に促されたエレンは、今まで起きた事……全てをありのままに話した。

「……厄介な事になったな」

「…国王陛下のおっしゃる通りです。…どこから咎めて良いやら…。それに、罰も数え切れない程ある!」

「…ですが、姫君に罰を与えるとなると……」

「…まあ待て。エレン、まずはドラゴンを見せてくれないか?」

エレンは国王に言われた通り、宮殿に居た全員をライルの居る中庭へと案内する。





モーリス国王の気配に気付いたライルは静かに一礼した。

「…このドラゴンは言葉を話すのかい?」

『…私達、ドラゴンは言葉での会話はしないわ。それは心と心でやり取りができるから。でも、それは自分が認めた一人の相手だけよ』

国王の問いに対してライルはエレンの心に話しかけた。



…この事で、ライルが自分を認めてくれているのだと改めて実感し、とても嬉しくなった。

ドラゴンは、相手の心……つまり絆で強く結ばれているのかも知れない。そう感じた。



「…ドラゴンは自分の認めた一人の相手と心の中で会話をするので、言葉は話しません」

「……そうか」

なんとなく理解した国王だったが、評議員三人の言葉で、その場に居た全員が自分の耳を疑った。



「…流石は気高いドラゴン。………千年以上生きているだけの事はあるな」

「……しかしながら、その姿は先代の国王に仕えていた時の事を思い出す」

「…懐かしいですな」

…そう言ったからだ。
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