第6章 新たな始まり

「…ただいま帰りました。……お父様。…お母様」

久々に暮らし慣れた宮殿へと入ったエレンは、こちらを優しく見守る二人に挨拶をした。


……と、そこへ。
慌てて駆けつける足音が三つ聞こえてきた。評議員三人組のおでましだ。



しかし、三人はエレンとスフレを見て唖然としていた。



「…な……なんと!?魔女が居るとは、どういう事だっ!?」

「……そうですぞ!姫君は、私達魔法使いの掟をお忘れですか!?」

議長の言う魔法使いの掟とは、魔法使いは自分のために魔法を使うのではなく、人を助けるために使う事。

そして、魔女とは関わりを持ってはならないというもの。

…これを破った者は、厳しい罰が与えられる。





「…分かっています。私も一人の魔法使いですから。…それを守らなかった事には、きちんと罰を受ける覚悟です」

「……そう焦るでない、エレンよ」

今までの成り行きを陰で見ていたシムズ国王が、宮殿の中へと足を踏み入れた。


「…なっ!シムズ国王陛下!?」

「…どうやってここまでっ!?」

三人組を無視した国王は、ヘンリー国王と王妃に深くお辞儀をしてから静かに口を開いた。



「……この度は、エレンに大変なる迷惑をかけてしまいました。……ご存知だとは思いますが、私は闇の精霊によって心身を操られていました。……もし、エレンが呪いを解いてくれなかったら、この世界は今頃、どうなっていた事か………。ですから、どうかエレンの話を聞いた後でお考え下さい」

「……そうであっか。やはり闇の精霊に操られていたとは…。…分かりました。エレン、お前の話を聞こう」
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