第5章 解かれた呪い

「…国王陛下、申し訳ありませんでした。」

辛子色のドレスから青色のドレスに着替えたエレンは、シムズ国王に向かって深くお辞儀をした。


……例えモーリス国王の娘であっても、他国の国王を傷付けるなど、決して許されるものではない。

しかも、闇の精霊を体から引き離すためとはいえ、そんな理由など通用しない。

それを破った者には、重い処分が下されると知っていた上で、実行してしまったのだから、それなりに覚悟はしなければならないと考えていた。





「…何を言うエレンよ。君が私にかけられた呪いを解いてくれなければ、私はどうなっていたか分からない。……深く感謝するよ」

優しい微笑みをエレンに向けた国王を見た国民達は、昔の国王に戻って良かった、本当に良かったと口々にそう言い、それぞれの家に帰っていった。


「…しかし、これからが大変だな」

「…大丈夫です陛下。皆…皆がいますから…」

朝日を眺めながらエレンはスフレとライルを見つめた。




「…ほほう。ドラゴンに魔女とは……。これは良い仲間が居る」

微笑む国王にエレンも微笑み返し、全員ライルの背に乗り、森を越え川を過ぎ、見慣れた筈のパーム国がとても懐かしく見えた。

その中心にある城の庭に到着したライルは全員を下ろす。



そこでやっと、帰ってきたのだと実感した。

そして、シムズ国王とスフレ、ミーシャと一緒に宮殿へと向かったのであった……。
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