第5章 解かれた呪い

「…カンディール・ダルデェサーム」"たとえ私の心が氷に閉ざされたとしても"

そう言うと、白い本から透明な光が溢れ出した。
…どうやら、闇の扉が開かれたようだ。


「…ディザルテ・アバーゲル」"わたしは貴方の側で共に生きていきたい"

「…や、やめろっ!!」

強制的に引きずられるようにして、本の中に闇の精霊の体がゆっくりと入っていく。



「…イグターナティア・スオーデ」"今宵の月の光を"

闇の精霊の体が半分ほど入ると、より一層光が強くなった。



「…ルセマ・ダタースティカ」"今、貴方に捧げよう"

強めの風が吹いたかと思うと、闇の精霊は本の中に納まり、光も一緒に吸い込まれるように消えた事で、闇の扉が閉ざされたのを確認したエレンは目を開け、ライルと共に地面に降りた。



闇の精霊を葬ったと同時に、アグムの魂はシェレーナの体に入り込んだ。

それを実現したシェレーナは、魂を融合する事がせめてもの償いなのだと言い、消えていった。(実はシェレーナは、おそれ山を案内する為に出てきたいわば幻。アグムの魂と自分の魂がこれからずっと、一緒にいれる事でその役目を終えたと知ったからだ)
12/14ページ
スキ