第5章 解かれた呪い
「…うっ!やめろぉぉぉぉぉ!!」
その声とは裏腹に、闇の精霊は口から火を放ち、それを消し去った。
「…ふふふ。もう少しだったなエレン。…それにしても、お前の魂は実に旨そうだ」
自分の唇を舌舐めずりする闇の精霊の言葉をまともに聞かない内に、エレンは目を閉じた。
それは、魔法使いが黒魔術で呼び出した精霊と目を合わせると、先に心を操られその内、体も思い通りに操られてしまうからだ。
「…賢いエレン。…だが、私の声まで聞こえないふりをしても無駄だ。…さあ、目を開けるが良い」
その言葉と共に、耳元に息を吹きかけられたエレンは背筋が寒くなるのを感じながらも、コルセットの中からスフレに預けていた白い本を引っ張り出し、ある歌を歌おうとしていた。
それは、黒魔術で闇の精霊を呼び出す時に歌われるもので、歌うには黒魔術に使われている言葉の単語を正しく並べ替えなければならない。
エレンは、それをよく思い出しながら口を開いた。
「オリドゥナ・マズル」"月夜の光よ。私の望みを聞いてくれるか"
「…そ、その歌はっ!!」
焦る精霊の声が聞こえる。
………無理もない。
なぜなら、今まさに闇の精霊を葬ろうとしているのだから。(闇の精霊を召喚するのも、本の中に葬るのも、この歌が必要だ)
その声とは裏腹に、闇の精霊は口から火を放ち、それを消し去った。
「…ふふふ。もう少しだったなエレン。…それにしても、お前の魂は実に旨そうだ」
自分の唇を舌舐めずりする闇の精霊の言葉をまともに聞かない内に、エレンは目を閉じた。
それは、魔法使いが黒魔術で呼び出した精霊と目を合わせると、先に心を操られその内、体も思い通りに操られてしまうからだ。
「…賢いエレン。…だが、私の声まで聞こえないふりをしても無駄だ。…さあ、目を開けるが良い」
その言葉と共に、耳元に息を吹きかけられたエレンは背筋が寒くなるのを感じながらも、コルセットの中からスフレに預けていた白い本を引っ張り出し、ある歌を歌おうとしていた。
それは、黒魔術で闇の精霊を呼び出す時に歌われるもので、歌うには黒魔術に使われている言葉の単語を正しく並べ替えなければならない。
エレンは、それをよく思い出しながら口を開いた。
「オリドゥナ・マズル」"月夜の光よ。私の望みを聞いてくれるか"
「…そ、その歌はっ!!」
焦る精霊の声が聞こえる。
………無理もない。
なぜなら、今まさに闇の精霊を葬ろうとしているのだから。(闇の精霊を召喚するのも、本の中に葬るのも、この歌が必要だ)