第5章 解かれた呪い

…治癒能力が使えるのね。

『…それなら、私の番ね』

エレンの考えが通じたのか、ライルは炎を吐き出した。

その炎で一瞬で燃えた怪物だが、そこからアグムが飛び出してきた。




エレンは気配を感じ取り、素早く魔法で剣を呼び戻し、手に構えた。

「…おや、準備だけ良いねぇ?…だが、それだけでは私には勝てないぞ?」

勢い任せで迫ってくるアグムの体を刺すが、切るのは空気ばかり。

「…ほら、どうした。…それでは無駄に体力を使うだけだぞ?」

追い打ちをかけるようにアグムが言うが、確かにその通りだった。



「…フェルサー・アレバース!」"電撃よ、その者の体を貫け"

エレンは電撃をアグムの体に押し付けた。

…しかし、今の攻撃が全く効いていないのか、口元に余裕のある笑みを浮かばせたアグムは手を広げ始めた。

「…そんなもの効かないねぇ?…次は私の番だ!」



………なんて恐ろしい人。…エレンは初めてこう思った。

大概はあの攻撃を受けた者は体が痺れて動けなくなるというのに、アグムは先程から表情を変えない。

それどころか、平気な顔をして魔法を操っている。


…流石は、モンシャルベンの弟子になるくらいの事はある。

これくらいは容易く攻撃されたとしても、耐えられるような体のつくりをしていなければ、とてもではないが、弟子にはなれないだろう。
8/14ページ
スキ