第5章 解かれた呪い

「…エンパー・スーム!」"剣よ、切り裂け"

呪文を唱えると、剣が消されてゆく火を切るようにして、またもや隠されていた短剣をへし折り、そしてそのままシムズ国王の右腕を掠めた。

これだけはやりたくなかったが、アグムを国王の体から引き離すには、この方法しかなかった。




「…おのれっ!小娘がぁぁ!!」

その場に倒れた国王の体。開いた口からは、茶色の液体のようなものが出て、それは段々と人の形になっていった。



…ああどうしよう!このままじゃ、やられるわ!そう感じた時………。

空から勢い良く風が吹いたかと思うと、羽のように地面に着地した見知った姿にエレンは、一瞬驚いたが、心から安堵した。

『…どうやら私の出番のようね?』

声の主は美しい紫色の羽をしまいながらエレンを見つめていた。

『…ライルっ!来てくれたのね?』

『…もちろん。でも、今は話している時間がないわ。…さあエレン、私の背に乗って!』

心の中で会話をしたエレンは寝そべっているライルの背に乗ると、ライルは風のように空へと舞い上がった。
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