第5章 解かれた呪い

今までの疑問が確信に変わった事を確認したエレンは、兵士の姿から元の姿へと戻り国王の背中を見つめた。

…しかし、いくら経っても変化がない事に違和感を覚えたのであろう。

シムズ国王は酷く苛立った様子だった。

きっと、エレンが怪物にかけられた呪いを解かなければ、今頃この世界は暗黒の世界となっていただろう。

だが、それは呪いを解いた事でそれはもう効力を発揮しなくなった。





……そう。

怪物にかけられていた呪いは、パシェ国が火の海に包まれた時、怪物達がおそれ山から出て、街を焼き払い…さらに強力な呪いをかけるように命じられていたのだ。



「…何故だっ!何故、何も起こらない!?…答え…」

振り返って、エレンの姿を見たシムズ国王は、言いかけた言葉を飲み込んだ。

「…なっ!?…何者だ!あいつは何処へ行った!?」

あいつとは、兵士に化けていたエレンの事を言っているのだ。…全く頭の悪い。

「…ここに居るではありませんか。…陛下のお相手をしていたのは全て私です。…私はモーリス国王の娘、エレンよ」

「…くくくっ!そういう事か!エレンとやら、母君が恋しくなったのか?」

口元に笑みを浮かべたシムズ国王はエレンを見下すように言い放った。
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