第4章 戦いの始まり

ライルが吐き出したドラゴンブレスは、森の茂みに穴を作った。

それを見たエレンの体はそこに入り込み、気付けばパシェ国の城にある庭にいた。


顔を上げ、遠くに見えたおそれ山を眺めた後、自分の姿を男の兵士に変え、宮殿へと足を進める。

靴の音だけがやけに廊下に響く中、右に曲がった所にあった階段の小さな窓にミーシャが座っていた。



「…ミーシャ!私よ、エレンよ」

「…エ…エレン!?」

突然小声で話しかけられたミーシャはエレンの声に驚いたが、無事だと分かると安心したような顔をした。


「…あのね。ミーシャ。早速だけど、お願いがあるの。……今から私、シムズ国王に会ってくるわ。だからその間に、スフレに私に化けてお母様をパーム国に連れて行ってほしいと伝えて?」


「…良いけど、心配したんだよ?…本当に気を付けてね?」

心配そうにエレンを見たミーシャは、もう一度振り向いてから階段を降り、駆けていった。

エレンは深呼吸してから、宮殿の扉の前に立っていた。


…これは一つの賭けでもあった。

扉を叩き、宮殿の中に入ると、仏頂面をしたシムズ国王と目が合ったので、エレンは恭しくお辞儀をした。
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