第4章 戦いの始まり
一瞬の出来事に、反応するのが遅れただけでなく、コルセットに挟んでいた何かが落ち、それも何処かの木の枝に巻き付けられ、エレンの頭上に縛り付いた。
…………もう駄目かも知れないわね。
トロールの腕が自分の顔を目掛け迫ってくるのを見たエレンは、これで終わりなのだろうと覚悟を決めて目を閉じた。
だが、一向に痛みを感じない事を不思議に思ったエレンがゆっくりと目を開けると、そこには拳を握ったまま固まって動きを止めているトロールの姿。
恐る恐る頭上を見上げてみると、枝に巻き付けられていたのは、光を反射している鏡だった。
大きな安堵のため息を漏らしたエレンは右手で、コルセットに挟んでいた赤い液体をトロールの口の中に流し入れた。
「ぺサーザ・サムハ!」"姿よ、戻れ"
静かに呪文を唱えると、強い風と共にトロールの姿と、エレンを縛っていた枝も灰となって消えていった。
…終わった。………終わったんだ。
そう思いながらも、地面に倒れ込んだエレンの意識はそこで途切れた。
その意識が途切れる前、空から舞い降りてくるドラゴンのような姿を見たような気がしたが、その後は自分がどうなったのかさえ、よく思い出せなかった…。
…………もう駄目かも知れないわね。
トロールの腕が自分の顔を目掛け迫ってくるのを見たエレンは、これで終わりなのだろうと覚悟を決めて目を閉じた。
だが、一向に痛みを感じない事を不思議に思ったエレンがゆっくりと目を開けると、そこには拳を握ったまま固まって動きを止めているトロールの姿。
恐る恐る頭上を見上げてみると、枝に巻き付けられていたのは、光を反射している鏡だった。
大きな安堵のため息を漏らしたエレンは右手で、コルセットに挟んでいた赤い液体をトロールの口の中に流し入れた。
「ぺサーザ・サムハ!」"姿よ、戻れ"
静かに呪文を唱えると、強い風と共にトロールの姿と、エレンを縛っていた枝も灰となって消えていった。
…終わった。………終わったんだ。
そう思いながらも、地面に倒れ込んだエレンの意識はそこで途切れた。
その意識が途切れる前、空から舞い降りてくるドラゴンのような姿を見たような気がしたが、その後は自分がどうなったのかさえ、よく思い出せなかった…。