第3章 魔女の抜け道

国王二人に再びお辞儀をし、剣を手に城から出ると、そこには一頭の白馬が居た。

この馬が、ゼカルテとも言われているヴィルナだと分かった。(ゼカルテという呼び名は、白馬が風ように走る事から"白馬の風”という意味にちなんでいる)


「…お待ちしてました。ですが、あまり時間がありませんので、早くお乗り下さい」会釈したばかりのヴィルナは地面に寝そべり、エレンを背に乗せしっかりと乗ったこのを確認すると、ゆっくり体を起こし駆け出したー。




それから数時間後。

流石は呼び名が付くだけあり、通常ならば半日くらいはかかるであろう道のりを夕暮れ時に到着する事ができた。

地面に足を下ろしたエレンにヴィルナはご無事を祈っておりますと言った後、来た道を戻っていった。



静寂に包まれ、一人残されたような感覚に少しだけ恐怖心を覚えながらも、森の入り口を目指して足を進める。

だが、そこまで行くには延び放題にされた腰の高さまである草をかき分けて進まなければならなかった。

そのせいで、より距離が長く感じられた時ー。


手に木の葉が触れた事で、森の中へ足を踏み入れたのだと実感し、辺りを見渡すと中は想像していたよりも薄暗く、それは程好い不気味さを醸し出していた。



「…ねえスフレ。なぜここは魔女の抜け道と呼ばれるようになったの?」

ここに来るより前にずっと気になっていた事をエレンは、スフレに問いかけた。
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