第2章 出会いと旅立ち

「…ねえスフレ、そんな所あるかしら?」

「さあ?…魔女の私でさえ一度もそんな所は聞いた事がないわ」

小声で返ってきた言葉に、やっぱりねと言うように肩をすくめてみせた。


「…さて。小言はそれまでにして本題に入ろう。…どうしたらシムズ国王の企みを防げるのか。そして、もし仮におそれ山の怪物の所まで行くとするならば、どうやって行くか……」

「それなら私に行かせて下さいっ!!」

素早く反応したエレンに国王は難しい顔をした。


「…私にはそう上手く行くとは思えません。…ましてや相手がシムズ国王となると…」

「私も同感です。シムズ国王は今や何かを得る為なら手段を選ばない」

「…もう一度考え直す必要がありますな」

評議員三人は揃って厳しい顔付きのまま、相槌を打っていた。



「…お言葉ですが、シムズ国王はまさか私のような子供が何かをしにやって来たとは思わないはずです。…それに私が行った方が怪しまれないで済みます!」

はっきりとした言葉に、そうか!その手があったか!と言わんばかりに評議員三人は一斉にエレンを見た。

「…私達が行けば怪しまれるだけ。だが、顔を知らない姫君ならシムズ国王も油断して尻尾を出すかも知れません!」

「…これが上手くいけば何とでもなりますぞ!」

三人の意見を聞いて、仕方ないとでも言うように静かに頷いた国王は優しい眼差しをエレンに向けた。
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