第2章 出会いと旅立ち

……翌日。
国王に呼ばれたエレンは、ミーシャと共に宮殿へと向かっていた。

理由はもちろん、怪物の事についてだ。


宮殿の扉を開け中に入ると、そこには国王と評議員三人が待っていた。

「…皆そろったようだな。…これより議論を始める。エレン。早速だが、怪物についてもう少し詳しく話してくれるかい?」

「…はいお父様。…怪物が守っているのは、当時魔女の見習いだった人が持っていた"杖"です。…でもそれは一人の魔女により呪いをかけられ、怪物が杖を守るようになったのです」


「…その怪物はどこに居るのです?」

人物の名前など、伏せれる所は伏せつつ、議長の質問に戸惑いながらも、エレンはおそれ山だと答えると、一瞬にしてその場の空気が凍りついた。



「…ですが、望みはあります。……それは杖にかけられた呪いを解く事です!」

「その方法は見つかったのかい?」

「……いいえ、まだです」

国王の問いに対し、こぶしを握りしめたエレンだったが、直ぐに前を向いて言葉を続けた。


「…今は分からなくても、おそれ山に行けば答えが見付かるかも知れません!」

「なんと無茶な事を…」

「いけません姫君!…あそこに行けるのは魔女くらいですぞ!?」

「魔女は私達よりはるかに高い能力を使い魔法を操る。…それにもしかしたら"暗闇の底"へ引きずり込まれるかも知れんのだぞ!?」

評議員三人はエレンの無茶ぶりに反論し、リュードの放った言葉に二人は肩を震わせていた。


リュードが言っている"暗闇の底"とは、魔女が棲みついていると言われる谷の名で、そこに引きずり込まれた者は体から心臓を引き抜かれ、ゆくゆくは魔女になってしまう…というもの。

だが、これは魔法使い達がそう思っているだけの作り話で、魔女と関わった事が一度もない魔法使いにとって魔女は不気味な印象を持っているのが実態で、その為こういったような例え話が多くあるのだ。


…もしこれが仮に本当に存在したなら、真っ先に魔法を操る者、全員が引きずり込まれる事だろう。


エレンは馬鹿馬鹿しいと思いながらも、後ろに居るであろうスフレに問いかけた。(魔女は普段、魔法使い達に気付かれないよう結界を張り、姿を見えなくしている)
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